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…もしもし?

第37話

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 思うようにいかなくて、マウンドの上でイライラしてた。

 ストライクが入らず、狙ったところにボールがいかない。

 3年生になったばかりの春。

 彼は順風満帆だった2年間の成績とは打って変わって、思うような成績を上げられなくなっていた。

 私はあんまり詳しくないから、全然そんなふうには見えなかった。

 勝つか負けるか。

 そんな単純なことくらいしか、当時はわからなかったし。


 「別に誰かに当たったじゃないし」

 「彰君はなんて?」

 「“俺が悪い”って」

 「じゃあ、そうなんじゃない?」

 「なんでお前までそんなこと言うんだよ」

 「…だって、自分でもそう言ってるじゃん」

 「そりゃそうだけど」


 どこか、思い詰めたような顔をしてた。

 あの頃の彼は、2年生の頃とはちょっと違った。

 いつも悩んでた。

 あーでもないこーでもないとか言って、自分の投球フォームばかりを気にしてて。


 わからなくはなかった。

 野球のことは全然だけど、思うようにいかないってことは、なんとなく。

 バーを高く感じるようになったのは、偶然なんかじゃなかった。

 大人になるにつれて、だんだんとわかったんだ。

 思うように飛べなくなった理由が。

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