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かつての夢

第28話

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 「キミがここに来た理由は、なんとなくわかるよ」


 猫はそう言った。

 呆然と立ちすくむ私のそばで。


 私は、どうしていいかわからなかった。

 今すぐに彼に会いたかった。

 だけど…


 「ここは、…現実…なの…?」

 「そうとも言えるし、そうじゃないとも言える」


 猫は、ここに来るまでに私に忠告していた。

 この世界の「ルール」は2つ。

 1つは、過去を変えてはいけないということ。

 そしてもう1つは、過去を受け入れること。

 その意味はわからなかった。

 当たり前のことすぎて、それが“どういう意図なのか”がわからなかったからだ。


 過去は変えられないし、受け入れなくちゃいけない。

 ずっと、そう思いながら生きてきた。

 何を今さらって感じだった。


 「記憶の中…って、言ったよね?」

 「そうだよ」

 「…じゃあ、彼は?」

 「彼がどうかした?」

 「…生きてるの?」

 「うーん。まあ、考え方によってはね」


 …なに、それ


 息の仕方も忘れてしまうくらい、動けなくなる自分がいる。

 わかってるんだ。

 こんなの、あり得ないってこと。

 だけどもし、…もし、彼が生きてるなら。


 「気をつけて。過去を変えることは許されない。一歩踏み間違えれば、キミは元の世界に帰れなくなる」
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