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かつての夢

第27話

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 嘘…でしょ…



 目の疑ったのは、ありもしない光景が、そこに飛び込んできたからだ。


 もしかしたら


 そう思う心が、確かにあった。

 だけど反面、そんなわけないって思う自分もいた。

 あれからもう10年も経つ。

 短いようで、ずっと長かった時間。

 ずっと、自分に言い聞かせてた。

 ちゃんと前を見なきゃって、思い込ませようとする自分がいた。

 彼の背中を追いかけても、きっと届かないんだって、何度も言い聞かせてた。

 諦めきれない自分がいることもわかってた。

 夢の中で、どれだけ彼が私の前に現れたか、わからないくらい。


 川べりの広間へと続く石段の上に、ポツンと座っている人がいた。

 後ろ向きに被った帽子に、茶色いグローブ。


 その後ろ姿が、「誰か」くらいはすぐにわかった。

 忘れようにも、忘れられなかった。

 ずっと追いかけていたんだ。

 …ずっと、夢の中で手を伸ばしてた。

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