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かつての夢

第19話

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 「目が覚めた?」


 …え?

 窓辺の横にある机に、猫が座っている。

 ずいぶんと長い間、夢を見ていた気もする。

 ただ、記憶はすぐそばにあった。

 さっきまでいた場所。

 頭の中に残っている時間。


 ずっと遠い世界の街並みが、視界の先に横たわっていた。

 まるで夢の中の出来事だった。
 
 街が消えるなんてあり得ない。

 ましてや、猫が喋るなんて…


 「ひゃッ…!」


 部屋の中に猫がいること。

 まず、そのことに驚いた。

 色々とこんがらがっていた。

 この「部屋」は、私が高校の時に住んでいた部屋だ。

 東京田町に住んでる親戚のマンションは、東京タワーや港区の街並みを一望できるマンションだった。

 地上34階建てで、全180邸の免震タワー。

 港区に誇る情景のタワーとして、東京都内ならではの大都会の華やかさを持っていた。
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