上 下
388 / 394
毒キノコでも食った?

第386話

しおりを挟む

 嫌そうな顔をすると思ったが、案外そんなことなかった。

 はいこれ。

 今日の買い出しリスト。


 「なにこれ??」

 「見ての通り重たいもんばっかやから頼むわ」

 「買いに行けと?」
 
 「1人で行ってくれるん?」

 「ええ!?」


 別にいいんだよ?

 行ってくれても。

 ただあんたに頼むと余計なもん買ってくるからなぁ

 あんたん家はなんもないの?


 「俺ん家?」

 「おばさんに頼まれてないの?」

 「今日はとくに」

 「ふーん」


 校舎を出て自転車置き場に向かった。

 体育館の屋根が、斜面の下側に見える。

 石段を登った先にある剣道部の道場の入り口で、袴姿の生徒が出入りしているのが見えた。

 道場は昔からあって、最近改修工事がされたばかりだ。

 体育館裏の狭い通路と、小さなプレハブ小屋。

 蓮池が、手入れの行き届いた玉ツゲの庭の向こうに見えた。

 道場の近くはとくに“庭園”って感じがして、ふさふさの芝生が、白い敷石の周りに入り組むように重なっていた。

 木陰の下にある水鉢が、いい味を出しながら。

 
 そういえば最近、コウと居残り練習してないじゃん。

 なんかあったの?


 「何もないけど」

 「バッセンにも寄っとらんやん」

 「バッセン!?」

 「バッティングセンターのことや」

 「それは知っとる」


 川沿いにある『赤木バッティングセンター』。

 今時珍しいアームのみが稼働する旧式のタイプで、店員もほとんど1人しかいないボロいバッティングセンターだ。

 他にもお店はあるが、亮平のお気に入りはそこ。

 モニタータイプのやつは嫌いみたいだった。

 試合感が狂うみたいで。

 
 


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

帰宅部ですか。帰宅部ですよ。

安眠マクラ
青春
 私立中宮高校、この高校では部活動に入ることが義務付けられていた。 が、主人公、四宮直人はそれを知らなかった。元々部活動には参加しないつもりだった直人は仕方なく入る部活を探し始める。そこで見つけた、直人にぴったりの部活、それは...帰宅部だった。

(ほぼ)1分で読める怖い話

涼宮さん
ホラー
ほぼ1分で読める怖い話! 【ホラー・ミステリーでTOP10入りありがとうございます!】 1分で読めないのもあるけどね 主人公はそれぞれ別という設定です フィクションの話やノンフィクションの話も…。 サクサク読めて楽しい!(矛盾してる) ⚠︎この物語で出てくる場所は実在する場所とは全く関係御座いません ⚠︎他の人の作品と酷似している場合はお知らせください

迷い猫物語

江須 オルト
青春
自分の居場所をなくした迷い猫たちが自然と集まる場所、『真宵荘』 たまたまそこに迷い込んだ主人公、リクトと真宵荘に暮らす迷い猫たちの暖かくてちょっぴり悲しい日常の物語。

アルファポリスで書籍化されるには

日下奈緒
エッセイ・ノンフィクション
アルファポリスで作品を発表してから、1年。 最初は、見よう見まねで作品を発表していたけれど、最近は楽しくなってきました。 あー、書籍化されたい。

銀河鉄道の夜に優しい君と恋をする

三月菫
青春
いつもぼっちで友達ゼロの高校一年生、青井夜空が出逢ったのは、あふれんばかりの優しさと笑顔を持つ、何かと貧乏くじを引きがちな美少女、優木坂詠(ゆぎさかよみ)。 クラスメイトから教室の掃除を押し付けられて、放課後に一人掃除をする彼女を手伝ったことをキッカケに、仲良くなった二人は、一緒に帰ったり、ファミレスでご飯を食べたり、何気ないメッセージのやりとりをしたり、相合傘をしたり…… 少しずつ、一歩ずつ、クラスの皆に内緒の時間を増やしていく。 「今日の楽しい想い出、全部キミのおかげだよ。本当にありがとうね!」 これは不器用な少年と心優しい少女が、もどかしく、じれじれと、甘々と、両片想いに恋し合い、気がついたら彼女の全部を独り占めしていた、そんなハッピーエンドが約束された物語。

家から追い出されました!?

ハル
青春
一般家庭に育った私、相原郁美(あいはら いくみ)は両親のどちらとも似ていない点を除けば、おおよそ人が歩む人生を順調に歩み、高校二年になった。その日、いつものようにバイトを終えて帰宅すると、見知らぬ、だが、容姿の整った両親に似ている美少女がリビングで両親と談笑している。あなたは一体だれ!?困惑している私を見つけた両親はまるで今日の夕飯を言うかのように「あなた、やっぱりうちの子じゃなかったわ。この子、相原美緒(あいはら みお)がうちの子だったわ。」「郁美は今から施設に行ってもらうことになったから。」と言われる。 急展開・・・私の人生、どうなる?? カクヨムでも公開中

Dorya′sのシチューなる日常

雨星 みかん
青春
このお話は、どりゃーズの仲間メロン チェリー みかん の吹奏楽部部員の嘘のような本当の3人の日常のお話です。

俺、貞操逆転世界へイケメン転生

やまいし
ファンタジー
俺はモテなかった…。 勉強や運動は人並み以上に出来るのに…。じゃあ何故かって?――――顔が悪かったからだ。 ――そんなのどうしようも無いだろう。そう思ってた。 ――しかし俺は、男女比1:30の貞操が逆転した世界にイケメンとなって転生した。 これは、そんな俺が今度こそモテるために頑張る。そんな話。 ######## この作品は「小説家になろう様 カクヨム様」にも掲載しています。

処理中です...