雨上がりに僕らは駆けていく Part2

毒キノコでも食った？

第３７７話

　「今度の練習試合先発やって？」

　「そ。監督にね」


　朝練を早めに切り上げ、体育館前の階段で綾を待ってた。

　綾はバレー部で、同じクラスの子だ。

　英単語帳アプリを開いて、音楽を聴いてた。

　最近ハマってるのは『ザ・モンスター』っていうロックバンド。

　ラップなんて興味なかったけど、たまたまCMで流れててハマった。

　歌詞はテキトー感ハンパないが、曲調が好き。

　『地獄鳥』あたりもいいかな？

　サバサバした感じのデスボイスが心地いいんだ。

　ボーカルが女性っていうところもまたいい。

　めっちゃ勉強が捗る。


　「ってか凄すぎん？男子相手に投げるんやろ？」

　「そうやけど？」

　「私らが男子と戦ったらボロ負けするわ。ウチの男子バレー部には勝てるけどな？」

　「けっつんが泣くで？そんなこと言うたら」

　「だって事実やし」


　友達からはよく言われる。

　なんで野球やってんのかって。

　好きだからに決まってんだろって言いたいところだが、中々理解してくれなくてね。

　自分でもおかしいなって思う時はあるよ？

　大人になるにつれて、だんだんさ？

　私の「夢」は、160キロのストレートを投げること。

　人に言ったら笑われるから、最近は言ってない。

　男でも無理だってのに、私なんかが投げれるわけないって思う時がある。

　本当はそんなこと、感じたくもないのに。