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毒キノコでも食った?
第370話
しおりを挟むショートストロークのエンジン音は、朝の音だ。
回転するタコメーターの針。
日差しを浴びて、艶がかる白色のボディ。
かっこいんだよね。
単純に。
だからおばさんにお願いしたんだよ。
高校を卒業したらバイクが欲しいって。
車種とかそんなのは、まだ決まってないけどさ?
「バナナがねぇ」
バナナがない?
何言ってんの?
テキトーにちゃちゃっと食えば?
あるじゃんそこに。
クラッカーとかパンが。
「ちょっと健康志向で行こうかなって」
「キモいこと言わんでくれる?」
「卵焼く時間ある?」
「あるわけないやろ」
時間を気にしてくださいません?
時計見えてんの?
針が『50』の数字を通過しそうですけど。
この前までこんなことなかったのに、急にだらしなくなりすぎじゃない?
いつもだったら先に着替えて待ってるレベルだった。
それが急にこれだ。
毒キノコでも食ったんじゃないのか?
じゃなきゃこうはなんないでしょ。
クマだらけの目の下であくびをかいて、「朝練に行きたくない」なんて。
「さて、行くか」
「はよせぇよ」
最近はコイツのせいで自転車通いだ。
須磨駅まではいつも自転車だけど、高校に入ってからは電車で三ノ宮まで行ってた。
朝の支度が遅すぎるせいで電車に間に合わないから、河川敷の道から突っ切ってる。
なんで私があんたの尻拭いしなきゃなんないの?
昨日は昨日でギリギリだったんだから早くしてよ。
怒られるのは私なんだからさ。
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