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俗に言うアレ
第227話
しおりを挟む「クラスの子なんよね?」
「そうや。めちゃくちゃ頭ええんやで」
「ふーん」
「けど、こっからやとわからんなぁ…」
「近づいてみる?」
「いや、やめとく」
弓道場を通り過ぎて、セミナーハウスの軒下まで歩いた。
資料館と南館とが、屋根付きの渡り廊下で繋がれている。
用事がないと、普段ここらへんは歩かない。
資料館はそこそこでかい建物だが、先輩がたむろってたりするから行きにくいんだ。
1階部分は図書室みたいな作りになってて、基本的には誰でも入れる。
2階は書道部と、…あと確か茶道部の茶の間があったっけ?
元々女子校だから、結構女子向きの文化部が多い。
給食室の横には調理部用のキッチンがあったり。
「高校なのに給食出んの?」
「給食?出ないで」
「でも給食室があるって」
「…ああ。あれ寮の人たち用の昼メシとか作っとるんや」
「へぇぇ」
「ここ、女子バレーの超強豪校やねん。寮自体は敷地のすぐ裏にある」
「結構大掛かりなんやな」
「中学校の給食センターとしても活用されとるらしいで?ほらここ、私立やろ?中学と、あと大学も経営しとるみたいや」
「それは知っとるよ。友達の知り合いもここに通っとるから」
食堂のメシも同じく作ってるらしい。
大学は山奥にあるが、併設してる中学校用に給食を作ってるんだ。
ほんとにすぐ隣。
エプロンを着た須磨中の子が、時々出入りもしてる。
西中にいた頃は、まさか須磨中の生徒と同じ敷地で高校生活を送るとは思わなかった。
須磨中っつったらここと同じく、以前まで女子校だったんだ。
まあ、男どもにとっては楽園みたいな場所だった。
俺はあんまり興味なかったけどな?
しばらく学校の周りをウロチョロしてたが、やっぱり見当たんねー
さっきも見かけたが、知ってる人は何人かいる。
でもほとんど話したことがないような人だ。
先輩とかとくに。
同級生だって、大して仲がいいわけじゃない。
同じクラスならまだしも、別のクラスの奴らとは、あんま話したことがない。
思い切って話しかけようとも思ったが、思うように足が動かなかった。
(…どうせ、「誰?」って言われるに決まってる)
つい、そう思ってしまう自分がいた。
やってみなくちゃわかんない部分があるにしても、なんかなぁ…
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