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好きっていうかなんていうか
第181話
しおりを挟む千冬が家に来ること自体は、日常的な出来事だ。
…でも、俺にとってはそうじゃない。
それはあくまで「昔」の話だ。
今の俺からしてみれば、非日常的以外の何物でもないわけで…
「亮平のやつ、変なこと言っとらんかった?」
「言っとる。今日誰かに会いに行きたいらしいんやが」
「犯罪犯すかもしれんから、手錠かけたほうがええで」
おい、誰が何を犯すって?
あまりにもしつこく催促してくるから、仕方なく制服を取りに行った。
神戸高の紋章が入った、しわくちゃのシャツ。
これで合ってる…よな?
昨日着てたのはこれで間違いない。
昨日のは洗濯機にぶっ込んだからここには無い。
が、多分おんなじものだ。
ネクタイは見当たらなかったが、別に付けなくてもいいか。
鞄は昨日駅員さんが回収してくれてて、終点の駅で保管してくれてる。
だから、今日でも取りに行かなきゃと思ってる。
というか、何が入ってたのか全然わかってない。
スマホも財布も手元にあるし、教科書類とかは学校に置いてたりするから、あるとしたら筆記用具とかグローブとか?
でも、キャッチャーミットはここにある。
バッティンググローブも。
中身があるとしたらやっぱ学校の関連物だろう。
ただ、鞄っつっても千冬と同じエナメル製の野球バックだから、もしかしたら道具系?
取りに行ってみないことにはわからない。
肩掛けのスクールバックが部屋にあったから、持って降りることにした。
中には何も入ってないが、手ぶらで行くのもなぁと思い。
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