雨上がりに僕らは駆けていく Part2

平木明日香

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アナザーワールド

第165話

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 「ほんまのほんまに千冬やんな??!」


 前のめりになりながら尋ねる。

 彼女は壁際に追い詰められたかのように怯えている。


 「…ヒッ!怖い怖い怖い」


 確かめたくてしょうがなかった。

 今すぐに。

 夢なら覚めてほしくないし、夢であってほしくはない。

 

 でも、どれだけ信じられないと思っても、直感が囁いてる。

 彼女は「千冬」だ。

 きっとそうだ。

 どれだけ現実離れしてようが、どれだけぶっ飛んだ状況だろうが。

 きっとあの女が、「別の世界」に俺を連れてきたんだ。

 じゃないとおかしいだろ?

 別の世界に飛んできて、世界が変わって——

 目の前にいる彼女は、多分、別の世界の「千冬」。

 そう考える方がずっと自然だった。

 整理しようとすれば、するほど。

 病院にもいなかった。

 名前だって一緒だし、顔も、仕草も、性格も、記憶を辿れば辿るほど、“千冬”だって思える。

 この部屋もそうだ。

 アルバムに写ってる俺たちも。

 理屈なんてどうでもいい。

 千冬が目の前にいる。

 それが、その「現実」が、たまらなく嬉しく思えてきて。


 「それ以上近づいたら殺す!」


 めちゃくちゃ物騒だなしかし

 そんな嫌がることある?!

 俺とお前の仲だろ??

 …てか、口悪くね?
 
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