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ここは…?

第134話

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 思わず声が出てしまうほど懐かしく思えたのは、今じゃもうそれが、すっかりカビが生えてしまってるからだ。

 しばらく放置してたせいで、ほとんど使い物にならない。

 ポケットに入れたりしてたから、汗で汚れてたのかも。

 何にしても、もう身につけることはないだろう。

 それこそ買い替えないと、見栄えも悪いし。


 「あんたどこやったん?」

 「 …へ?」

 「お守り!」


 おまもり…?

 意味がわからなかった。

 …いや、意味はわかる。

 わかりすぎるほどに。

 でも、どうして…?


 目の前の女子高生は、初対面に違いはなかった。

 だから俺がお守りを持ってることなんて、絶対に知らないはずだった。

 だから彼女を見た。

 ほとんど、口を開けたまま。


 「…お守りって、これのこと?」


 彼女のバックについているそれを指差し、確かめる。

 どうやら、間違いないらしい。

 間違いないらしいが、…意味がわからない


 「何その顔」

 「…なんで知っとんや?」


 聞くべき言葉も、尋ねるべき内容も、きっと間違いなんかじゃない。

 それなのに彼女は首を傾げ、“なんのことやら”という顔をしている。

 それがどれだけ奇妙か、自分でもよくわからなかった。

 それぐらい、彼女の反応はぶっ飛んでた。


 「…キミ、誰?」


 そう言ってしまったのは、多分、それ以外に言葉が見つからなかったからだとも思う。

 たじろかずにはいられなかったんだ。

 当たり前のように首を傾げるその仕草を。

 彼女の、まっすぐな視線を。
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