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ライバル

第113話

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 まあ、しょうがないと言えばしょうがない。

 健太は元々中学で何もしてなかったし、キャッチャーに任命したのも、体格が良かったからっていう安易な理由だ。

 だからってコンバートする必要性があったのかというと、それはそれで疑問が残る。

 だって練習すればいいだけだし。

 健太なりに頑張ってんだから、もう少し長い目で見ればよかったんだ。

 健太の代わりにキャッチャーに指名されたのは俺だ。

 元々経験者だったからな。

 でも、エースの座を譲る気もなかった。

 別に思い入れはないが、こう見えても中学でエースだったんだ。

 女にその座を譲られるのは、なんか嫌だった。

 偏見じゃない。

 単純に嫌気が差しただけだ。

 確かに俺より速い球は投げる。

 変化球だって一級品だ。

 でも、あくまで女は女。

 公式戦には出られない。


 そもそもなんで野球なんかやってんだろうか?

 超能力のことと言い、普段の言動といい、全てが謎すぎる。

 千冬に投げ方を教わったって言ってたけど、仮にそうだとしても納得ができない。

 野球を本気でやろうとする女なんて、アイツくらいだった。

 普通の女子なら、野球なんてやらない。

 やったってしょうがないからだ。

 どうせ大人になるにつれて、夢を追いかけられなくなるんだから。
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