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甲子園
第43話
しおりを挟む「あんたにはわかるやろ?キーちゃんの気持ちが」
「わかったところで、なんになるんや?」
アイツの夢は、誰にも負けないくらいでかかった。
人一倍負けず嫌いで、やると決めたらとことんやる。
それが、アイツの性分だった。
何かと戦おうとしてたのは。
…でも
でも、もう、届かないんだよ。
アイツの夢も、夏も。
俺が代わりに行ってやるって思った。
だけど同時に、それがなんになるんだ?って思う時があった。
千冬が目を覚ますならなんだってする。
アイツが望むことなら、俺はなんだって…
「考えんな」
「あ?」
「考えたってわけわからんやろ。せやから考えんな」
そんなこと言ってもだな…
大体、お前は何がしたいんだ?
こんなところに連れてきて、昔話に花を咲かせて。
ここに来たって、俺たちは何もできないんだ。
声だって、届かない。
わかるだろ?
「キーちゃんは今でも戦っとるんや。私らが立ち上がらんでどうする?」
「戦ってるって…、どう言う意味や?」
「見てわからんのか?キーちゃんは生きとる」
「…それが?」
「あんた言っとったやないか。“モタモタしとると追い抜くで”って」
…懐かしいな
でも、それが?
今さらそんな言葉、なんの役にも立たない。
…そりゃ、時々思い出したりはするけど
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