あの海が見える街の丘で


 世界に存在していない街、——神戸。

 1995年に起こった阪神淡路大震災からおよそ100年。

 「ジャイアント・インパクト」と呼ばれた災厄から、世界は滅びの一途に向かっていた。

 全ての始まりは、ある科学者がもたらした1つの機械装置の稼働からだった。


 遥か未来から来た少年、木崎亮平は、「世界が終わる日」を知っていた。

 世界を救う唯一の方法は、明日を捨てること。

 人類が生み出した機械装置を使い、過去に戻ること。

 ——つまり、“世界の記憶を変え続ける”ということだった。
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