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まだ、未成年なんですが?
第155話
しおりを挟む“城に亀裂が入っている”
ぱっと見た時にそう思った。
でも、そんなことはあり得ない。
思わず二度見してしまった。
ゴシゴシ目を擦った。
…亀裂…?
濃い紫色の瘴気が立ち上がり、その源には、深い傷跡のような「切り傷」が入っている。
少なくとも、私の目にはそう見えた。
“切れている”と思った。
天守閣の正面を斜めに切り裂いたように深い「溝」がある。
空間そのものが歪んでいる。
歪み、綻んでいる。
まるで、その先には別の空間が…
断層が避けたような一本の線が城の中央に入り、その線の内側から、見たこともない空間が露わになっていた。
暗く、それでいて“明るい”。
沼のような泥濘。
テレビのスクリーンに流れるノイズ。
そんな得体の知れない「奥行き」が城の内部に疾り、名古屋城全体の景色を一変させていた。
亀裂のような線は長くて深い。
奇妙だったのは、それにもかかわらず城が“立っていた”ことだ。
倒れてもおかしくないほどの窪みが、中心に入っているにも関わらず。
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