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バトルフェスティバル 地区予選編②

第96話

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 ババババババッ——!


 砂が弾ける。

 飛散する。

 スパークショットの一撃一撃は岩を砕く程度のものだが、その「数」は尋常じゃなかった。

 サンドストームによって巻き上げられた塵や石は空中に浮遊しながら、無数の破片となって空を飛んでいた。

 先輩は電流を走らせ、その破片が持つ電荷を引き寄せる。

 引き寄せ、——結ぶ。

 スパークショットの弾丸。

 その素材となるものを、自らの移動経路の道中に撒いていた。

 サンドストームの影響下にあった空間は、先輩にとっては攻撃手段の宝庫だ。

 戦いの場となっているフィールドの環境も、状況次第では、先輩の属性を優勢にできる性質を持っていた。

 今、この瞬間に於いては特にそうだ。

 空間内の三次元、——その全てを攻撃に利用できる〈時間〉は、早々訪れない。

 先輩は一気に畳み掛けるように攻撃を繰り出していく。

 カーティスは砂嵐の中心で岩を隆起させ、ドーム状のシールドを展開していた。


 “殻に閉じこもる”


 そう言った方が良いのだろうか?

 先輩の攻撃は、円形に構築された魔力壁に向かって、様々な大きさのスパークショットを連射した。

 層は厚く、広い。

 地面の上に現れた岩の『領域』。

 それはまるで「カタツムリの殻」だった。

 トグロを巻いた岩肌が、何重にも重なりながら膨らんでいた。

 入り組んだその構造は、先輩の攻撃の渦中にも成長し、太く、厚くなっていく。

 カーティスにとっての主戦場。

 フィールドの地面は、すでに彼にとっての『場所』だった。

 地面に接地した足元から、自らの魔力を根のように張り巡らせる。

 地面に近ければ近いほど「岩」の属性を強く引き出せる。

 シールドの強さは“地面の近さ”と比例していた。


 けど



 ボンッ——!



 スパークショットの一部は、被弾と同時に爆発を帯びる。

 帯電させた物質の内部を熱し、物体を加熱することで、弾丸の中に含まれる内部の揮発性の成分が急激に膨張し、衝突エネルギーの解放に乗じて爆発する。

 その表面温度は数千度にも達していた。

 例えば、落雷は木に直撃することがしばしばあるが、落雷が直撃した木は、時にすさまじい音とともに爆発することがある。

 これは、落雷によって木に蓄えられた電気エネルギーが瞬時に熱へと変わり、内部の水分を急膨張させるために起こる現象だ。

 シールドの表面上に次々と起こる衝撃波が砂塵を吹き飛ばし、バラバラと破片が飛び散る。

 敵の岩壁が、少しずつ綻んでいく。



 
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