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今日からお前は私の従者だ
第44話
しおりを挟む「これからどうするんだ?」
「これから…?」
「俺ん家に来ないか?」
「え!?」
「…いや、その、詳しく聞きたいんだよ。お前のこと」
…いや、でも…
彼の話に乗ろうと思ったが、遠慮した。
事情はともかく、そろそろ帰らないと怒られる。
スケジュールってもんがあるんでね。
こうしてキミといることだって、見つかったら大変なんだ。
昨日の今日だし。
今度は説教だけじゃ済まない。
「今、住んでるところは?」
「あれは…」
「深くは聞かないよ。色々あるんだろ?」
「あ、うん…」
彼は彼で、少し私の話を聞くようになってくれた。
私が「幽霊」だっていうことは信じてくれてないみたいだが、なんで生きてんのかとか、そういうことはしつこく聞いてこなくなった。
彼なりに悪いと思ったんだろう。
家までついてきたこととか、朝までいたこととか。
「私のこと、他の人には喋らない?」
「お前がそう言うなら」
「わかった。じゃあまた今度会おう。あなたが私の家に来るんじゃなくて、私があなたの家に行く」
「連絡先は?」
「スマホ持ってないから」
「そうなのか…」
「インターホン鳴らすから、誰もいなかったら私だと思って?」
「で、どこに?」
「この家」
「ああ、そういうこと」
「私も色々聞きたいことがあるんだ。思い出すのは怖いけど、ちょっと休める場が欲しくてね」
「休める場?」
「こっちの話」
最近ハードスケジュールすぎて、天使生活も大変だなと思い始めてたとこなんだ。
この際自分の過去を知るのも、悪くないなと思った。
それに「私」の彼氏なわけでしょ?
トレーニングに嫌気が差したりしたら、助けてくんない?
キミのこともよく知りたいんだ。
別に、今すぐにとは言わないし、時間はたっぷりあるわけでしょ?
それから、「キス」をしようとか言い出したら、さすがにぶん殴るから。
キミが付き合ってたのは記憶があった頃の「私」で、今の私じゃない。
いい?
わかった?
「お、おう」
「絶対に他言しないでね?じゃないと消えちゃうから」
「わかった」
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自分で考えろって言うんだよね。
何かあったら。
ま、何かあったらインターホンを押すよ。
手を振って別れようとしたら、電話番号を渡された。
彼は彼で大学生活を送ってて、夜は居酒屋でバイトしてるみたいだった。
家にいないことが多いから、何かあったら公衆電話から電話をかけてくれって。
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