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まずは名を名乗れ

第20話

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 「違う!そうじゃない!」


 夏木先輩の家に転がり込んでから1週間。

 街のパトロールや雑務をこなしながら、トレーニングを重ねていた。

 なんのトレーニングかっていうと、“魔法の扱い方”について。

 まだ魔法省から権限をもらっていないから、自分の中にある魔力を操作することはできない。

 代わりに魔具を利用し、感覚だけでも掴んでいけるよう、夏木先輩に教わっていた。

 トレーニングで活用しているのは“魔導書”だ。

 色んな属性の魔法を使役できる。

 使役できるけど、火力はほとんどない。

 何せ感覚を養うだけの参考書みたいなやつだから。


 「いい?魔導書なんて使う天使はほとんどいないんだ。あくまで魔力を増幅させるための補助具で、持ち歩いてるヤツも少ない。基本は肉弾戦か、固有の武器を持つ。まあ、魔導書をメインウェポンにしてるヤツもいるが、あんな持ち歩きにくいものはやめた方がいい。意識するのは魔法を出力する上での魔力の“気”の流れと、動線だ。しっかり集中するんだ。世の中の全ての物質は、素粒子で構成されてる。「魔力」っていうのは単なる呼称に過ぎない。原子の扱い方を学べば、自然と魔力の流れを検知できるようになる。意識するのは“イメージ”だ。心に浮かんだものを信じれば、自ずと周りの環境にも干渉できるようになる」


 イメージ…

 そんなこと言ったって、よくわかんないんだけど。

 空き地に用意したカカシの前に夏木先輩は立ち、見本を見せてあげるからと言ってきた。

 「魔法」は、“イメージを具現化しようとする力”。

 繰り返し、そう教えてくれて。

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