COLOR CONTACT 〜『堕天使』と呼ばれた最強の悪魔の血を引く女子高生は、平凡な日常を取り戻したい〜【1巻】

どちら様ですか？

第１１話

　えーーっと、

　…ここの信号を曲がって、あの水路を渡る…と

　ふむふむ。


　ホテルを出た後、バスを使って「烏森町」までやって来た。

　真琴先輩に会いたかったけど、今はパトロール中みたいだった。

　地図を片手にある“住所”を探していた。

　私がこれから住む「家」の住所だ。

　どうやら、築50年以上の一軒家みたいだった。


　2丁目の路地中を歩いていると、木造建築の古びた家屋が、土管のある空き地のすぐ横に見えた。

　黒い瓦屋根と、昔ながらの和風建築。

　見るからにボロい。

　玄関周りは草ボーボーだし、庭先の池は、苔が生えまくって底が見えない。


　…おえ


　こんな池じゃ鯉の１匹も泳げないよ。

　っていうか仏壇！？

　縁側から家の中が見えた。

　そしたら、その先に仏壇があった。


　…おいおい

　誰のだよ


　魔法省の人が言うには、下界に行ったらとにかく”マナー“(人としての)を学びなさいとのことだった。

　平たく言うと「社会」についてのどーちゃらこーちゃらだ。

　天界に社会もクソもないんじゃないか？と突っ込みたい気持ちが山々だったが、そこは我慢した。

　けどまだ悶々としてる。

　だって意味わかんないでしょ。

　「社会」だよ？

　天使の口から社会がどうとかって言われても、全然しっくりこないんだけど。

　あ、そういえば、私の下界行きの書類をまとめてくれた事務局の人は、天使じゃないっぽかった。

　本人が言ってたんだ。

　ホントか嘘かはわからないけど、バイトで働いてる“半獣人“だとか。

　天使じゃない種族もいるんだなぁって、その時に思った。

　天界＝天使のイメージだったから、意外で。