夏の果て

平木明日香

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青空

第3話

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 とにかく、「契約」を交わしてしまった。

 天国に行くか、行かないか。

 そんなの、天国に行くに決まってるだろ!

 そう言ってやったら、条件を提示してきたんだ。


 「人生でやり残したことをやり遂げる」


 なんだそれ…

 やり残したこと??

 クエスチョンマークを飛ばしていると、死神はこう言った。


 「あなたのような人生に後悔がある人間を、易々と天国に送るわけにはいかないのです」

 「じゃあ、どうすれば?」

 「もう一度「時間」を与えましょう。あなたという魂が、迷わずに済むように」


 わけがわからなかった。

 言われていることを理解できないまま、契約書にサインさせられた。

 ご丁寧にハンコまで押され、「いってらっしゃい」という合図。


 そうして、私はもう一度、人生をやり直すことになった。

 ”やり直す“と言っても、生き返るわけじゃなかった。

 死神が言うには、地上と天国とを繋ぐ境界線に、

 『並行世界(パラレルワールド)』

 と呼ばれる場所が存在してて、そこでミッションを達成するまで、人生をやり直す。

 ”ミッション“というのは、その人によって違う。

 私の場合は、「告白」。

 死んだ年の夏に、ある人に告白してた。

 幼馴染で、クラスメイト。

 残念ながら、失敗に終わったけれど。

 死神はそのことを知ってた。

 そしてあろうことか、その「失敗」をネタに、天国行きの条件を提示してきたのだ。

 進藤颯太を振り向かせろと。
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