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がんばれ、負けるな

第642話

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 「私の心配する前に、自分の心配をすること」

 「俺の心配?」

 「大会が控えてるんやから、気を引き締めなさい」


 剣道の顧問にお願いして、マネージャー枠を創設してもらった。

 まあ、名ばかりだが。

 色々することはある。

 掃除、洗濯…部室やグラウンド、道具やバスの洗浄作業。

 遠征の時の費用やお茶や、バス代などの部費の管理。

 諸々。

 大変なんだよ。

 一人でやってるから。

 ま、しのごの言わずにやるっきゃない。

 そう思いながら働いてると、案外慣れてきた。

 今じゃ、剣道部の女神と言われてるからね。

 ほっほっほ。


 亮平と約束してることがあった。

 どんなに忙しい日でも、部活はサボらない。

 それから、お見舞いにちゃんと行く。

 決め事はシンプルだ。

 『どんな時も諦めない』

 先日病院で亮ママと話した時、亮平にって、言われた言葉。

 亮平の部屋に駆け込んで、達筆な字で、ドアの前にデカデカと張り出してあげた。

 目標は、「日本一の剣士」。

 ま、ぶっちゃけ、それは亮平の「夢」であって、私の夢じゃない。

 私はただ、頑張ってほしいと思ってる。

 まっすぐ、夢を追いかけてほしいと思ってる。

 他人の心配よりも自分の心配をしろって?

 そうかもね。

 でも、亮平の目を見たら、応援せずにはいられないんだ。

 何か、でっかいことをやってるくれる予感がしてさ?
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