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がんばれ、負けるな
第639話
しおりを挟む◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
2011年の冬に戻ってきた私は、この半年間、学校に向かう彼の自転車の後ろにいた。
「…ちょ、重いんやけど?」
「我慢しぃや!トレーニングやと思って」
小学校を卒業し、西中に入学して、季節はもう夏になった。
耳を劈くほどのやかましい蝉。
ジメジメした7月。
亮平はうっとしそうに、ペシペシと頭を叩く私の手を払って、降りしきる日差しの下に汗をかいてた。
それは私もだった。
暑い。
冬よりも夏が好きだけど、どうもこの暑さには慣れないね。
この半年間つきっきりで、彼と一緒にトレーニングしてた。
トレーニングといっても、剣道で教えられることは何もないけど。
私は、できるだけ彼の近くにいようと思った。
剣道に打ち込む彼を見て、「日本一の剣士になる」、その夢を、間近で見ようと思って。
最近になってよく考えるんだ。
彼と出会った日のこと。
3人でいた子供の頃。
それはずいぶん昔のことのように思えた。
1年とか2年とか、そんな単位じゃなくてさ。
「そういえば」って思うことも、「そうそう!」って感じることも、彼を見てると思い出す。
一緒に過ごした日々。
夢を追いかけてた日々を。
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