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世界と楔
第485話
しおりを挟む「波」を「時間」に置き換える上で重要なのは、例えば一連の波の動作がある決められた範囲を通る時、“その波の干渉縞がある1点を通ることが、必ずしも必要になる”ということだ。
というのも、「波」の性質上、波は波源での振動が、媒質を変位が伝わっていく現象を指すから、波の伝わる方向に対してエネルギーの量や範囲が必ず一方向(限られた向き)へと限定されるようになるからである。
湖などの静かな水面に小石を投げ込むと、石の着水した箇所を中心にして波紋が広がっていくが、その波紋が及ぼす範囲は、小石が落ちた中心からエネルギーが伝わっていく範囲に対して有限である。
「波紋」とは波が媒質を伝って伝播する距離や時間を“正確に”知るための現象であり、波紋が起きる位置までは前もって知ることはできない。
「波紋」が起きる位置が「点」なら、波紋が起きた後の波の変位が「線」になる。
すなわち、波が伝わる「方向」について述べるとき、“力が伝わる量は常に一定である=力が及ぶ範囲は時間によって決まる”、ということが言える。
もし、「時間」そのものが波のような特性を持つ場合、小石が水面に落ちた瞬間を思い浮かべて欲しいのだが、“波が伝播する距離や時間間隔はランダムでない”と言えることが、伝播する時間の向きによっても一意的であると、解釈できる。
この「ランダム=不規則」ではないという言葉に直接関連づけることができる性質として、例えば、サイコロを転がした時のエネルギーの量によって決まる「目」の大きさが、有限であるかどうかという点に着目すべきだという部分にも、注目したい。
波の波紋のように力が伝わる方向が決まれば、その方向に対して振動する幅が確率的に見ても有限であることがわかる。
それは力が伝播する方向や大きさが有限であるのと同じで、波の振幅を作用するエントロピーの上界が、「現在」に対して常に一定の値を保っているからだ。
わかりやすい例で例えれば、ストップウォッチを手にして10秒をカウントする間、湖に落とした小石の波紋が広がる「長さ」や「大きさ」は、時間間隔的に見て“限られたエネルギーしか”検出することができない。
「限られたエネルギー」とは、限られた時間内に動ける距離が常に有限であるのと等価で、現在進行形に於いて複数の状態を同時に持つことはできないということを、教えている。
身近な例で例えれば、
たった1つのサイコロで1の目と6の目を“同時に”出すことはできない
というように。
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