上 下
485 / 698
世界と楔

第484話

しおりを挟む

 一本の波線を想像してみて欲しい。

 波線の1つの特徴として言えることは、物理学で言う波動、——すなわち、何らかの物理量の空間分布パターンが伝播する現象を指す。

 周期性を持つ波動、特に、正弦波では、振動数、周期、振幅、波長、波数などの物理量が定義される。

 同じ時刻に場の量が同じ値をとる点の集まりによってできる面を波面、

 波面が球面のものを球面波、

 波面が平面のものを平面波と言う。

 媒質が進行方向に平行に振動する波を縦波、垂直に振動する波を横波と言う。

 そして、波の空間パターンを作る物質や物理量(あるいはその分布)を「媒質」と言う。

 空気中を伝わる音波の媒質は空気である。

 空気の圧力分布のパターンが伝播するのが「音波」、水面を伝わる波の媒質は「水」、地震波の媒質は地球内部を構成する「マントル」や「岩石」である。

 電磁波は、電場と磁場の「パターン」が伝播する。

 この波の性質である「媒質」を、「時間」に置き換えて考えてみて欲しい。


 池に石を落とすと、そこを中心に水面が揺れる。

 そのように振動が伝わっていく現象のことを「波動」と言ったが、簡単に言えば、「波」とは「点」のように独立した不規則な振る舞いをすることはない。

 「点」とは、数学的に言えば、今日では非常に広範な意味を持つものとして扱われるが、歴史的には、「点」というものは、古代ギリシアの幾何学者が想定したように、直線・平面・空間を形作る根元的な「構成要素」、「原子」となるべきものであり、直線、平面、空間は点からなる集合(点集合)ということになる。

 しかし、19世紀の終わりごろにゲオルク・カントールによる集合論の創始と、それに続く数多くの「数学的構造」の出現があって以降は、その文脈で「空間」と呼ぶことにした任意の集合における任意の元という意味で、「点」という用語が用いられるようになった。
(例えば、距離空間の点、位相空間の点、射影空間の点、など)

 また、ユークリッド幾何学における「点」は、大きさや方向など、位置以外のあらゆる特徴を持たない。

 ユークリッドの公理や仮定では、一部の場合には点の存在が明らかだとする。

 例えば、1平面上の2直線が平行でなければ、その両線上に位置する1点が確実に存在する。

 「波」と「点」の相違性について述べる時、まず置き換えて考えなければいけないのは、波を「線」のような性質のものとして捉えるべきだ、ということである。

 「線」と「点」を相反するものとして考えることはできないが、この両者が互いに関係しあっていることは数学的にも物理学的にも明らかである。

 単純にいえば、点は一つだけのもので、線はその点のほうが集まったものとして捉えることができる。

 しかし二重スリット実験でもあるように、粒子、——すなわち点粒子(点)と波動(波)の二重性を示す実験にある「点と線の相違性」を、一概には述べることはできない。

 が、いずれにしても「波」とは、その性質として反射,屈折,回折,干渉がある。

 このうち、反射,屈折,回折は「ホイヘンスの原理」、干渉は「重ね合わせの原理」で説明できる。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

異世界でお取り寄せ生活

マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。 突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。 貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。 意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。 貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!? そんな感じの話です。  のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。 ※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。

婚約破棄を、あなたの有責で

しゃーりん
恋愛
公爵令嬢メーティリアは王太子ザッカルドの婚約者。 メーティリアはザッカルドに頼られることに慣れていたが、学園最後の一年、手助け無用の指示が国王陛下からなされた。 それに従い、メーティリアはザッカルドから確認されない限り、注意も助言もできないことになった。 しかも、問題のある令嬢エリーゼが隣国から転入し、ザッカルドはエリーゼに心惹かれていく。 そんなザッカルドに見切りをつけたメーティリアはザッカルド有責での婚約破棄を狙うことにした。 自分は初恋の人のそばで役に立ちたい。彼には妻子がいる。でも、もしかしたら……というお話です。

姉を虐げ、両親に溺愛された義妹が行方不明!? ~そして判明するのは義妹の愚行の数々!?~

mimiaizu
恋愛
伯爵令嬢のアキエーサ・イカゾノスは日ごろから、義妹のワカマリナと義妹を溺愛する両親に虐げられていた。屋敷では使用人のように扱われ、ドレスやアクセサリーなども奪われるばかりか、アキエーサの婚約者までもが妹にばかり優先する。義妹を溺愛する両親の決定で、いずれ婚約破棄されることも決まっていた。だが、肝心のワカマリナが突如として行方不明となり、両親も婚約者も大騒ぎ。義妹を溺愛する人たちの身勝手な証言で行方不明事件の重要参考人にされそうになったアキエーサは、そしてワカマリナは一体どうなるのか?

【中編集】そのままの君が好きだよ

鈴宮(すずみや)
恋愛
 溺愛、ざまぁ、婚約破棄等をテーマにした、アルファポリス未掲載だった2万字~4万字前後の小説をまとめ、公開します。 【収録作品】 1.そのままの君が好きだよ 2.元傾国の悪女は、平凡な今世を熱望する 3.おまえじゃ、ダメだ 4.『王太子の耳』だけど、黙ってばかりじゃいられません! 【1作目あらすじ】  王太子ジャンルカの婚約者であるディアーナはある日『新たに聖女が現れたから』と、一方的に婚約を破棄されてしまう。この国では王族と聖女が婚姻を結ぶのが慣わしだった。けれども、突然の婚約破棄にディアーナは納得ができない。そんな彼女にジャンルカは「君と一緒に居ると疲れるから」と冷たく吐き捨てるのだった。  その翌日、ディアーナはジャンルカが新たな聖女ロサリアと仲良さげに歩いている所を目撃してしまう。婚約破棄が原因で、クラスメイト達からも陰口を叩かれていたディアーナは、己の存在価値を見出せなくなった上、激しい自己嫌悪に苛まれることに。 「ディアーナは何も悪くないよ」  ジャンルカの弟、第二王子サムエレはそう言って、ディアーナに救いの手を差し伸べる。その日を境に、ライバル同士だった二人の距離はぐっと近づくことに。  そんなある日、サムエレに誘われて赴いた夜会で、ディアーナは元婚約者であるジャンルカと再会する。そこで彼が口にしたのは、思いもよらない内容で――――。

白鬼のミタマ

月並
歴史・時代
人里離れた山の中で暮らす少年は、父親が捕まえてきた白鬼(びゃっき)の面倒を見ることになりました。 ※pixivに掲載していたものを大幅に加筆・修正したものです。 ※史実要素が出てきますが、あくまでフィクションのファンタジー小説としてお読みください。

鴉喰の華 ~日本に転生したのに、異世界に転移させられた!~

hinomoto
ファンタジー
藤並篤郎、17歳。男。 恋人は居ません。 日本で一人暮らししています。 両親は健在で日本や世界中のあちこちを飛び回っています。 勿論、私は庄内高校の二年で日本での生活です。 趣味は読書、パソコン、ネット、農作、物作り、音楽、魔法学ですね。見ているテレビはNHK教育です。読書は漫画も含みますよね?農作は畑関係です。物作りは色々有りますね、小さな棚とか小屋とか釜とか陶芸とか。機械弄りも含んでますよ。音楽はー。 ん? 魔法学。 使えない物ですが、趣味ですから。 だって日本に転生しましたから。  ■■■■■■■■■■■■■■■■■ ※すみません、ノクターンでの紹介説明が、気に入ったので書かせて貰います。 ◎惑星エレリーナの一国バイシュの冒険者リザイデント(女)は活躍していた。下竜討伐の前にウエル・ログイシュと結婚したが、討伐の時死別(逃げてる時にモンスターに殺られた。)その後一人で下竜を倒し、国から名誉貴族にされるが、無視。王家の跡目争いや魔族の戦争が起こる。勇者達が現れるが、リザイデントが師事する事に。勇者達が途中で逃げる中、魔王トライデントを一人で戦い相討ちになる。40歳で死んだが、神のミネルシルバからの褒美で地球の日本に転生。 ◎日本では藤並篤郎(男)として生まれた。 某県の庄内市の高校二年(17)になり、友達に誘われキャンプに。のんびり高校生ライフが一転してエレリーナの神、美神アルテウルに誤って連れ去られてエレリーナ星のバイシュ国に逆戻りに。 四百年過ぎた世界でどう生きるのか。 篤郎のトンデモライフの始まりです。

(完結)婚約破棄から始まる真実の愛

青空一夏
恋愛
 私は、幼い頃からの婚約者の公爵様から、『つまらない女性なのは罪だ。妹のアリッサ王女と婚約する』と言われた。私は、そんなにつまらない人間なのだろうか?お父様もお母様も、砂糖菓子のようなかわいい雰囲気のアリッサだけをかわいがる。  女王であったお婆さまのお気に入りだった私は、一年前にお婆さまが亡くなってから虐げられる日々をおくっていた。婚約者を奪われ、妹の代わりに隣国の老王に嫁がされる私はどうなってしまうの?  美しく聡明な王女が、両親や妹に酷い仕打ちを受けながらも、結局は一番幸せになっているという内容になる(予定です)

処理中です...