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世界と楔

第483話

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 通常、時間の中で取り扱われるべき確率の有効値というものは、ある有界な幅と距離、及び時間量に於いて有限な値を持つように思われる。

 それはサイコロの面の数が有限であるのと同じように、サイコロを振ればいずれかの目に決まるのと同じで、ある一定の時間内に決まり得る確率はその大小を問わず、必ず1以上になることが決定されているからである。

 この「1以上」という数字が意味しているものは、“0にならない数字”として受け取ってみてほしい。

 『サイコロを振れば、必ずいずれかの目に止まる』

 このほとんど直接的な意味を受け取れば、サイコロの目に「0」がないということが、1つの結果やその「確率の範囲」として導き出すことができるはずだ。

 0という数字は、1でも6でもなく「0」にしかなれない。

 それはいわばサイコロを転がさないということと同じであり、有効数字としての確率を得られないということと同じであることが、確率という特性上に於いて明確な線が見えるようになってくる。


 サイコロを転がした瞬間に、サイコロの目が1になる確率は0%ではない。

 このことの意味は、ある一定時間内に於いて必ず得られる結果が存在するということを意味していた。

 つまり「現在」という時間に対してある1つの運動は必ず決定しており、その「幅」や「エネルギー」は常にある1つの確率に依存していることが、時間とその距離を決定していると考えられた。

 「過去」が存在する時、そのエネルギー区分や情報量の境界は、常に一定の値を保っている。

 この「一定の値」を数値化する時、「現在」とは常に既存のものとして、取り扱わなければならない。


 「現在」は、時間的な区分の割合で言えば、常に“100%の値ではない”。

 なぜなら今この瞬間にも「時間」は過去に転移し、未来へと変化を続けているからである。

 ストップウォッチを手にして、スタートさせて見ればわかるように、また、砂時計を逆さにして砂の流れが生まれるのと同じように、「現在という時間」が常に静止していないことは、力学的に見て明らかなことである。

 「100%の値ではない」という直接的な意味合いの解釈として、現在というタイミングが「速度」という概念の外側にはないということを、合わせて理解していなければならない。

 川の水の流れのように止めどない変化量の「直線」が「現在」なら、現在とは雲や風のように常に同じ形を持たないという「超流動状態」にあるということ。

 「現在」とは「99%の過去」でもあり、「99%の未来」でもある。

 これは、現在がそのどちらの時間変化量を顧みたとしても、接着剤が凝固しない中間のタイミングに常に連続していることが、ある一点に於いて“途切れていない”ということを教えているのである。
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