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1995.1.17
第447話
しおりを挟む検死によれば、死因は火災が直接的な要因ではなく、家屋倒壊時の落下物による圧死が、原因とみなされていた。
暴れた痕跡がなかったのは、おそらく落下物がかなりの重量であったために、降りかかって来たものとの衝突によって、即死は免れなかったのではないか?と推測されたためだ。
火事の現場で収容された静香さんの遺体は、その後緊急に設けられた学校構内の霊安施設に預けられ、検死を行うために安置されていた。
片岡家に帰って来たのは、震災発生から2日後のことだった。
母さんはその時の光景をよく覚えてる。
まだ、昼にも満たない明るい時間に、昔よく遊んでいた11畳の客間で、納体袋に納められ、静かに眠っている妹の姿を。
「静香」って呼びかけても、返事はない。
どんな顔で笑って、どんな顔で怒っていたかもわからないほど、見る影はなかった。
それでも必死に呼びかけた。
目を覚まして
家に帰ってきたよ
朝が苦手だった静香さんを起こす「おはよう」という言葉。
それが届かないとわかっていても、声を出さずにはいられなかった。
「ごめん」が届かない永遠の横で、わああっと溢れ出る胸の叫びを、止めることはできなかった。
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