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1000年の邂逅
第250話
しおりを挟む人は、「時間」の中に「空」を求めた。
かつて世界を覆っていた青色の景色と、日常の風景を思い出しながら、もう2度と見ることができない「未来」を、「時間」の中に探し求めた。
豊かな自然、環状線の人の往来、静かな川のせせらぎ、さざなみの音、——街。
私たちは決して諦めなかった。だから、「過去」に戻るしかないと考えたのだ。私たちの記憶の中に保存されている世界の「情報」は、まだ、私たちが間に合う時間を持っていた。
私たちが私たちでいられる「時間」を。
私たちがその足で、地上の上に立てる「距離」を。
だから、私たちはあの日から、「未来」を捨てたのだ。クロノクロスネットワークを使い、自らの「過去」に意識を転送することで、人はかつての世界を追いかけた。
かつて、自分たちが歩いていた空と、地上の世界を。
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