204 / 698
99%の先へ
第203話
しおりを挟む「…事故を、…回避した………?」
「そう!それで、…あんたが事故に遭って…」
とにかく、思い浮かぶことを全部説明した。
9月9日に自分が戻って、次の日の朝に、あの交差点に行った。
その後に起こった出来事や、キーちゃんと話したこと。
一通り説明した後に、未来に行ったことも話した。
2022年。
亮平は、黙って聞いていた。
「…待て待て、タイムリープしたって?」
「そうやって言うとるやろ!」
「…いや、あり得ん。この前言うたやろ。“物質そのものを移動させるタイムリープは不可能”やって。それに、「未来に行く」なんて言うのは、科学的にも物理的にも不可能や」
「…いやでも、実際に移動したんやって!!」
「ええか。クロノ・クロスで介入できるんは「時間」やない。あくまで個人間に於ける「保存された情報領域」や。人間の脳の中に保存されている情報ストレージ領域を利用して、あたかも“過去に移動しているように思える”だけや。情報が行き来しとるだけで、実際には「時間旅行」ができとるわけやない…。…いや、まあ、正確に言えば…」
「…難しい話はどうでもええねん!とにかく、私のせいで未来が変わったんや…!アンタが事故に遭うって言うのは、私が事故に遭わなかった世界線やろ!?」
「…いや、まあ、そうやけど。そんな単純な問題やなくてやな…」
「私のせいで…、事故が起きた。どうすればええん!?…どうすれば」
「落ち着け。何を経験したんか知らんが、少なくともその「世界線」は、元々あった世界や」
「…元々?」
「お前のせいで起こった「事故」やないってことや。…むしろ、俺のせいで、楓が事故に遭う「時間」が、…世界が生まれてしまった。やから今、こうしてここに来とるわけやし…」
「…あーもうわからん…。なにがどうなっとんかが」
亮平の言葉は、相変わらず理解が難しい。
何を言ってるのかわからないわけじゃないけど、ややこしさの塊みたいな感じで、困惑するしかなかった。
…ただ、ぶっちゃけ、そんな話はどうでも良かった。
世界がどうとか、タイムリープがどうとか、そんなことよりも、亮平が事故に遭った。
その「現実」を目の当たりにしてしまったことが、…怖かった。
…だって、目の前であんなことになって、…もう目を覚まさないかもって、何度も考えたんだ。
元々の世界とか、誰かのせいで生まれた世界とか、…そんなややこしいことは正直、今は考えたくない。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
やり直し悪女は転生者のヒロインと敵対する
光子
恋愛
ああ、どうしてこんなことになってしまったんだろう……
断頭台を登る足が震える。こんなところで死にたくないと、心の中で叫んでいる。
「《シルラ》、君は皇妃に相応しくない! その罪を悔い、死で償え!」
私に無情にも死を告げるのは、私の夫である《キッサリナ帝国》の皇帝陛下 《グラレゴン》で、その隣にいるのは、私の代わりに皇妃の座に収まった、《美里(みさと)》と呼ばれる、異世界から来た転生者だった。
「さようならシルラ、また、来世で会えたら会いましょうね。その時には、仲良くしてくれたら嬉しいな!」
純粋無垢な笑顔を浮かべ、私にお別れを告げる美里。
今の人生、後悔しかない。
もしやり直せるなら……今度こそ間違えない! 私は、私を大切に思う人達と、自分の幸せのために生きる! だから、お願いです女神様、私の人生、もう一度やり直させて……! 転生者という、未来が分かる美里に対抗して、抗ってみせるから! 幸せになってみせるから! 大切な人を、今度こそ間違えたりしないから!
私の一度目の人生は幕を閉じ――――
――――次に目を覚ました時には、私は生家の自分の部屋にいた。女神様の気まぐれか、女神様は、私の願いを叶えて下さったのだ。
不定期更新。
この作品は私の考えた世界の話です。魔物もいます。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。
救世主はいつだってダサいもんだ
一作
SF
35歳。無職。カネなし。女なし。現世では絶望していたとある普通の男。
だが彼は救世主だった。
男が全て死んだ世界で、女たちと交わり人類を存続させるという使命を持った男の一代記。
【本編完結】婚約を解消したいんじゃないの?!
as
恋愛
伯爵令嬢アーシアは公爵子息カルゼの婚約者。
しかし学園の食堂でカルゼが「アーシアのような性格悪い女とは結婚したくない。」と言っているのを聞き、その場に乗り込んで婚約を解消したつもりだったけどーーー
どーでもいいからさっさと勘当して
水
恋愛
とある侯爵貴族、三兄妹の真ん中長女のヒルディア。優秀な兄、可憐な妹に囲まれた彼女の人生はある日をきっかけに転機を迎える。
妹に婚約者?あたしの婚約者だった人?
姉だから妹の幸せを祈って身を引け?普通逆じゃないっけ。
うん、まあどーでもいいし、それならこっちも好き勝手にするわ。
※ザマアに期待しないでください
塩対応の公子様と二度と会わないつもりでした
奏多
恋愛
子爵令嬢リシーラは、チェンジリングに遭ったせいで、両親から嫌われていた。
そのため、隣国の侵略があった時に置き去りにされたのだが、妖精の友人達のおかげで生き延びることができた。
その時、一人の騎士を助けたリシーラ。
妖精界へ行くつもりで求婚に曖昧な返事をしていた後、名前を教えずに別れたのだが、後日開催されたアルシオン公爵子息の婚約者選びのお茶会で再会してしまう。
問題の公子がその騎士だったのだ。
鴉喰の華 ~日本に転生したのに、異世界に転移させられた!~
hinomoto
ファンタジー
藤並篤郎、17歳。男。
恋人は居ません。
日本で一人暮らししています。
両親は健在で日本や世界中のあちこちを飛び回っています。
勿論、私は庄内高校の二年で日本での生活です。
趣味は読書、パソコン、ネット、農作、物作り、音楽、魔法学ですね。見ているテレビはNHK教育です。読書は漫画も含みますよね?農作は畑関係です。物作りは色々有りますね、小さな棚とか小屋とか釜とか陶芸とか。機械弄りも含んでますよ。音楽はー。
ん?
魔法学。
使えない物ですが、趣味ですから。
だって日本に転生しましたから。
■■■■■■■■■■■■■■■■■
※すみません、ノクターンでの紹介説明が、気に入ったので書かせて貰います。
◎惑星エレリーナの一国バイシュの冒険者リザイデント(女)は活躍していた。下竜討伐の前にウエル・ログイシュと結婚したが、討伐の時死別(逃げてる時にモンスターに殺られた。)その後一人で下竜を倒し、国から名誉貴族にされるが、無視。王家の跡目争いや魔族の戦争が起こる。勇者達が現れるが、リザイデントが師事する事に。勇者達が途中で逃げる中、魔王トライデントを一人で戦い相討ちになる。40歳で死んだが、神のミネルシルバからの褒美で地球の日本に転生。
◎日本では藤並篤郎(男)として生まれた。
某県の庄内市の高校二年(17)になり、友達に誘われキャンプに。のんびり高校生ライフが一転してエレリーナの神、美神アルテウルに誤って連れ去られてエレリーナ星のバイシュ国に逆戻りに。
四百年過ぎた世界でどう生きるのか。
篤郎のトンデモライフの始まりです。
異世界召喚されたけどヤバい国だったので逃げ出したら、イケメン騎士様に溺愛されました
平山和人
恋愛
平凡なOLの清水恭子は異世界に集団召喚されたが、見るからに怪しい匂いがプンプンしていた。
騎士団長のカイトの出引きで国を脱出することになったが、追っ手に追われる逃亡生活が始まった。
そうした生活を続けていくうちに二人は相思相愛の関係となり、やがて結婚を誓い合うのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる