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第202話

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 頭の中を整理する。


 …2013年、…12月27日…


 …そうだ。


 亮平に言われたんだった。


 『自分が未来人だってことを2人に伝えるから、未来で起きることを言い当てる』


 って。


 クリスマスの日に電話した。


 ふざけんな!って言ったんだ。


 突然自分の「正体」を2人にバラして、訳の分からないことを言い始めたんだ。


 混乱させられるだけ混乱させられ、文句を言ってやった。



 …それでそのあと、「今日」の夜に……




 「…あのさ、今それどころやなくてやな…」

 「…は?」

 「…とにかく、今日は中止!今からアンタの家に行くから!」

 「はあ??なぜに?」

 「色々話したいことがあんねん。緊急事態や」



 2013年に戻ってきているということよりも、解決しなきゃいけないことがあった。

 自分が経験したこと、この「数日」に起きたこと。

 それを全部伝えなきゃって思った。



 「…なにがあったん?」

 「とにかく、静かな場所に行きたい。話はそっからや」



 そばを食べる亮平を待ちながら、私たちはショッピングセンターを出た。

 自転車に乗り、亮平の家に向かう途中で、亮平が公園に行こうと言ってきた。

 帰り道の道中にある、神戸で一番大きな『神戸総合運動公園』に。



 芝生に囲まれ、ウッドデッキがたくさん並ぶ広間の中心で、切り株のイスに腰を下ろしながら、話をすることになった。

 先にイスに腰を下ろし、ハス池の水面を泳ぐ鯉の姿を目で追っていると、温かいミルクティーをそっと渡してきた。


 「…ありがと」


 亮平はコーンポタージュを。

 金属の柵に寄りかかりながら、プシュッと蓋を開ける。


 「で、話って?」と、尋ねてきた。



 「…えっと」



 …何から話せばいいだろう。

 色々考えたんだ。

 自分が体験したこと。

 「現実」で起こったこと。


 ……でも、正直、なにが「現実」かをはっきりと区別できるような冷静な判断は、今のところできそうになかった。

 …ただ、亮平が事故に遭ったこと、あの交差点での出来事、


 …2014年9月10日の「時間」だけは、自分の中で最も身近な「現実」に思えた。


 だから、とにかくそのことを、その「日」のことを、必死に声に出そうとした。


 亮平は黙って、私の言葉に耳を傾けた。
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