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現在と過去

第173話

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 亮平の言葉を必死に思い出そうとした。

 アイツが言っていたこと。

 その一つ一つの言葉を。


 「…キーちゃんに会いたいって」

 「…え?」

 「思い出した。亮平が言ってたんや。キーちゃんに会わなきゃって…」


 たどたどしく並べた言葉。

 思い出しながら、絞り出した。

 記憶の先にある確かな言葉。

 亮平が言っていた確かなことを。


 「…アタシに?」

 「…目的は、…確かそうだ。「世界」を正したいって言ってた。世界は「嘘」をついたんだ、それを元に戻さなきゃいけない、そのためにアイツに会わなきゃ…、って」

 「「世界」を、…正す?」

 「私もよくわからんよ…?でもそう言ってたんや!クロノ・クロス…!そう!『クロノ・クロス』!」


 頭に舞い降りてきたその「記憶」を、「言葉」を、勢いのままに声に出した。

 思い出した途端に机の上に両手をバンッ!と置き、前のめりになって、「そうだ!」って具合に。



 「…クロノ・クロス…?」

 「そう!その言葉!なんか書くものない!?忘れないうちにさ?」


 メモ帳か何かに書き記そうと思った。

 記憶を掘り返し、思い出したことの全てを。

 「夢」じゃないって、それを証明するためには、なにがあったかを整理しなきゃいけない。

 思い出すんだ。

 その上で話を進めなきゃ…!


 「アイツは世界を元に戻さなきゃ…って言ってた。そのためにキーちゃんに会って、開発を止めてもらわなきゃって」

 「待て待て!そもそもなんでアタシに会うんや!?そのクロノなんとかってのもよぉわからんけど、「世界を元に戻す」?…意味不明なんやが」

 「…それは、キーちゃんが…」

 「…アタシが?」

 「…クロノ・クロスの、開発者やって…」

 「…」


 私の言葉を聞いた後、目をまん丸にして、呆然としていた。

 していたと思いきや、ブハッっと吹き出したように笑い出した。

 

 「プッ…、ハハハハハハッ。なにそれ、笑える」

 「ほ、ホントなんやって!!未来でキーちゃんは科学者になってて、その「クロノ・クロス」ってやつを開発したって!!」

 「科学者?アタシが?」

 「そう!!」
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