173 / 698
現在と過去
第172話
しおりを挟む
「…大体、過去に戻ってきて、お前はどうやってここに戻ってきたんや?」
「…どうやって?」
「2013年にタイムリープした後や。そのまま今日まで過ごしとったんか?」
「…え?いや、そういうわけやない」
「せやったら、お前は「どこ」からきたんや?」
一瞬考え込んでしまった。
自分がどうやってここに戻ってきたのか。
「どこ」から来たのか。
冷静に考えても、考えなくても、そんな簡単なことくらいわかる。
…わかるはずなのに、なぜか答えられなかった。
「そんな難しいこと聞いとらんで?」
「…わかっとるけど」
キーちゃんが疑問に思うのも無理はない。
でもホントなんだ…
あれは「夢」なんかじゃない…
今日の朝はそんなことは思わなかった。
でも今は、夢じゃないって思うんだ…
証拠なんてものはないけど
「…考えすぎや。心配なのはわかるけど。病院で夢でも見とったんやろ?」
…違う
そんなんじゃない。
夢なんかじゃないんだ…
「…最後に隕石を見てた」
「…隕石?」
「アキラと絢音と、…その2人は中学の友達なんやけど」
「電話で言っとったことあったな?新しい友達ができたって」
「そう。3年になってもずっと一緒やったんや。運良くクラスも一緒やったし」
「で?」
「で、亮平が隕石を見に行こうって言うて」
「「未来の亮平」が?」
「そうそう!それで…」
「…それで?」
そこから先の記憶を、思い出そうとした。
2022年に飛んだって言う話よりも、もっと手前。
そこでノイズのようなものが頭の中に走った。
夜空と、星と、光と、——渇いた音。
あの夜、キーちゃんがいた。
2013年のあの夜に、いるはずがないキーちゃんが。
…でもそれを伝えようか迷った。
「伝えることを迷った」というよりも、急に、自分が見たあの光景が、——出来事が、嘘のように思えた。
確かにあの場所にキーちゃんはいた。
それは間違いない。
でもあり得ないものを右手に持ってて、亮平がその場所に倒れて…
「…どした?」
「…いや、なんもない」
キーちゃんが言う。
考えすぎだ、って。
夢でも見てたんだって。
その言葉が、急に重くのしかかってきた。
考えようとすればするほど、現実とは思えない出来事。
光景。
でも、…でも、今日の出来事が偶然には思えない。
その2つの感覚がない混ぜになって襲いかかる。
だんだん訳が分からなくなってきた。
「…どうやって?」
「2013年にタイムリープした後や。そのまま今日まで過ごしとったんか?」
「…え?いや、そういうわけやない」
「せやったら、お前は「どこ」からきたんや?」
一瞬考え込んでしまった。
自分がどうやってここに戻ってきたのか。
「どこ」から来たのか。
冷静に考えても、考えなくても、そんな簡単なことくらいわかる。
…わかるはずなのに、なぜか答えられなかった。
「そんな難しいこと聞いとらんで?」
「…わかっとるけど」
キーちゃんが疑問に思うのも無理はない。
でもホントなんだ…
あれは「夢」なんかじゃない…
今日の朝はそんなことは思わなかった。
でも今は、夢じゃないって思うんだ…
証拠なんてものはないけど
「…考えすぎや。心配なのはわかるけど。病院で夢でも見とったんやろ?」
…違う
そんなんじゃない。
夢なんかじゃないんだ…
「…最後に隕石を見てた」
「…隕石?」
「アキラと絢音と、…その2人は中学の友達なんやけど」
「電話で言っとったことあったな?新しい友達ができたって」
「そう。3年になってもずっと一緒やったんや。運良くクラスも一緒やったし」
「で?」
「で、亮平が隕石を見に行こうって言うて」
「「未来の亮平」が?」
「そうそう!それで…」
「…それで?」
そこから先の記憶を、思い出そうとした。
2022年に飛んだって言う話よりも、もっと手前。
そこでノイズのようなものが頭の中に走った。
夜空と、星と、光と、——渇いた音。
あの夜、キーちゃんがいた。
2013年のあの夜に、いるはずがないキーちゃんが。
…でもそれを伝えようか迷った。
「伝えることを迷った」というよりも、急に、自分が見たあの光景が、——出来事が、嘘のように思えた。
確かにあの場所にキーちゃんはいた。
それは間違いない。
でもあり得ないものを右手に持ってて、亮平がその場所に倒れて…
「…どした?」
「…いや、なんもない」
キーちゃんが言う。
考えすぎだ、って。
夢でも見てたんだって。
その言葉が、急に重くのしかかってきた。
考えようとすればするほど、現実とは思えない出来事。
光景。
でも、…でも、今日の出来事が偶然には思えない。
その2つの感覚がない混ぜになって襲いかかる。
だんだん訳が分からなくなってきた。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
雨上がりに僕らは駆けていく Part2
平木明日香
青春
学校の帰り道に突如現れた謎の女
彼女は、遠い未来から来たと言った。
「甲子園に行くで」
そんなこと言っても、俺たち、初対面だよな?
グラウンドに誘われ、彼女はマウンドに立つ。
ひらりとスカートが舞い、パンツが見えた。
しかしそれとは裏腹に、とんでもないボールを投げてきたんだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる