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運命の交差点
第166話
しおりを挟む「…母さん、今日は帰りたくない」
「帰らないって言っても、明日も学校あるやろ?」
「学校なんて、いつでも行けるやん」
「ここにおっても、どうしようもないやろ…」
「どうしようもないってどういう意味よ?!」
「亮君は安静にしてるし、先生たちがなんとかしてくれる。婆ちゃんもおるやろ?」
「…そうやけど、いつ目を覚ますかもわからんやろ??」
「目を覚ましたら、ちゃんと言うてくれるわ」
「…けど、」
「それに、学校終わったらいつでも会いに来れるやろ?車でいつでも送ったるし」
「…」
正直、帰りたくなかった。
ここに寝るつもりだった。
離れたくなかったんだ。
ここを離れたら、目を覚さないんじゃないかって、思えた。
ピロリロリン
スマホが鳴った。
キーちゃんからだった。
『今から行く!!』
朝、ラインを送ってた。
『亮平が事故に遭って、今病院におる。やから今日は学校行かん』
送った後、速攻で既読がついて返信してきた。
6限が終わり次第行くって。
キーちゃんはここで起こったことを知らない。
メールで伝える気力はなかった。
伝えてたらきっと、飛んできただろう。
でもそんなに大事《おおごと》にしたくなかった。
きっと大丈夫って、思ったから。
17時を過ぎた頃に、キーちゃんが来た。
母さんはもう先に帰ってた。
夕飯の準備とか、色々あるし。
また夜に迎えに来てくれる。
晩御飯はここら辺で食べる予定。
近くにマックとかもあるし、2000円ほどくれたから、最悪コンビニ弁当+スイーツでもいい。
「…亮平は!?」
「…ここにおるで」
走ってきたみたいだった。
そりゃそうか。
事故に遭ったって以外は伝えなかった。
乱れたセーラー服のまま、カバンを床に投げる。
見下ろす形で亮平を見ていた。
驚いた様子だった。
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