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運命の交差点

第157話

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 胸がざわめく。

 早く、…早く会いにいかなきゃ…

 母さんは何度も「きっと大丈夫だから」って声かけてきた。

 大丈夫であってほしい。


 …でも、もしそうじゃなかったら…


 想像が、…よからぬ想像がよぎった。


 私が、…事故に遭わなかったから…


 だから…、「結果」が変わって…



 亮平の言葉を必死に思い出そうとする。

 確か、事故に遭って、植物状態になって、それで…

 事故以降、目を覚ますことがなかったって…


 …でも、


 …そんな



 亮平の家に電話をかけ、婆ちゃんが移送先の病院名を教えてくれた。

 婆ちゃんは婆ちゃんで、逼迫した様子だった。

 事故に遭ったって、どんな事故だったの!?って、何回も聞いてきた。

 なにも答えられない自分がいた。

 母さんが途中で変わって、事情を説明してくれた。

 「きっと大丈夫ですから…!」って、私と同じように宥めようとしてくれてて…



 明石市立市民病院。


 亮平が運ばれたのは、高速を降りて10分ほどの最寄りの場所だった。

 急いで車を走らせ、海沿いの道を進む。

 空は、さっきよりも低く感じる。

 9月10日、この日は、晴れのち曇りの天気だった。

 午後からは雲がかかる。

 朝のニュースでそう言っていた。

 もしかしたら雨が降るかもしれない、——そんな気配を感じる空が、張り裂けそうになる胸の緊張の先で、灰色の雲を運んでいた。

 すれ違う対向車。

 明石へと続く街の風景。

 息苦しい車内の空気を入れ替えるために、窓を全開にした。

 吐き気がしたからだ。

 少しでも、外の空気を吸いたかった。
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