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【第3章】青い土地
第147話
しおりを挟む「タイム…リープ!?」
「ほら、やっぱ信じてへんやん」
「…いや、信じられんやろ」
「…そうよな、まぁ…」
「てか、あいつと結婚しとったん!?」
「そこは別に掘り返さんくてええんやけど…」
「掘り返すやろ(笑)さすがに」
信じてもらえないことは知っていた。
ていうか逆に、信じてもらえるはずはないと思っていた。
自分だって、「それ」が現実だったなんて思えなかったし…
でも、聞いてくれるだけでも良いと思った。
どんなアホなことでも、キーちゃんになら話せる。
帰り道は、歩きだった。
「…車椅子生活かぁ…」
「…いや、ただの夢やと思うで??」
「でも、車椅子生活やったんやろ?」
「…まあ、そうやけど」
「地獄やったやろな。動けんとか想像できん」
「…」
「それで、亮平が50年後から来たって、そう言ったんや?」
「そうやけど、ただの夢やって」
「夢やとしても、おもろい話やな」
「そんなんあり得んやん?」
「せやけど、それを確かめに行ったんやろ?」
「そうやけど…」
本当に夢だったかもしれないと思い始めたのは、キーちゃんとの会話が、ごくごくありふれた日常の匂いや景色を、運んできたからだ。
さっきまでの「出来事」は全部嘘で、9月10日の世界なんていうのは、そもそもまだ訪れてない。
そう思えることの方がよっぽど自然で、普通の流れに思えた。
日常が日常であるように。
現実って文字を、ハッキリ思い出せるように。
「ま、とりあえず明日は部活サボんなよ」
「わかってるって」
家まで付き添ってくれたキーちゃんは、玄関先で手を振って帰っていった。
空はもうすっかり薄暗くなっていた。
玄関を開けると、リビングで母さんが夕食の準備に取り掛かっていた。
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