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第135話
しおりを挟むパソコンを伝って聞こえてくる「言葉」に、動けなくなる体。
…なんで、そんなことを…
それは言葉の意味がわからないからじゃなくて、むしろ“わかった”からだ。
キーちゃんが今言ったこと。
それが聞き違いじゃなければ…
…でもそんな…
まさか…
「…どういう、こと?」
「ソレハ楓ガヨク知ッテルデショ?」
「ちょちょ、ちょっと待って!今、この世界じゃないって…」
耳の中に残るフレーズ。
非日常的なワード。
キーちゃんは今、…確かに言ったよね…?
「この世界の楓じゃない」って。
「タイムリープ、シテルンデショ?」
絶句した。
声にならなかった。
『タイムリープ』
その言葉がキーちゃんの「言葉」として聞こえてきた時、思考が完全に止まった。
強制的にシャットダウンされたプログラムのように。
「…嘘でしょ?」
キーちゃんがなんでそんなことを口にしたのか、どうして私の「話」をおかしいと思わないのか、そんな初歩的な疑問など、どうでも良かった。
自分にとって、なにが現実かもわからない今、目の前に現れた言葉に絶句する。
目が覚めて、クリスマスイブの歌を聴いた、あの時のように。
「早ク帰ラナイト」
「…帰る…って?」
「君ハココニイルベキジャナイ」
…ここにいるべきじゃない…って?
キーちゃんを見ながら、開いた口が塞がらない。
頭がこんがらがりすぎて、何から整理すればいいかもわからなかった。
「…なにを、…言ってるん?」
それは、思考の片隅に降りた不協和音だった。
解読不可能な言語。
それに近い、ノイズが走る。
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