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第126話

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 この「世界」で何があったのか、2014年から、8年もの間に何があったのか、私はわからない。

 そもそも、この「世界」は、私がわからないことばかりだ。

 弟がいるって、なに?

 父さんが行方不明なのもそうだし、アキラや綺音に至っては、「知り合い」ですらない。

 …そんな、そんなわけがわからないことが、現実だとは思えない。

 ここは「現実」じゃない。

 その感覚が、すぐ隣にある。

 鏡の中にいる自分に、触れることができないように。


 高校生になって、キーちゃんが帰国して、昔と同じように会話した。

 登下校の道を一緒に歩き、昔と同じようにキャッチボールをした。

 キーちゃんの投げる球は、昔と同じように速かった。

 昔と同じように、遥かな空を見上げてた。

 少しだけ、「女の子」っぽくなった印象を受けたけど。

 高校生活を始めたばかりの日々、夏休みが明けて、蝉時雨のど真ん中に駆け抜ける朝風の向こう。

 私がいた「世界」が、遠くに感じる。

 理解できないほど、遠く。
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