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整理できない時間
第14話
しおりを挟むキッチンで温めたお湯を注ぎ、コーヒーを作った。
さっきまでの緊迫感は少しずつ薄らいでは来たけど、
なんだ、ただの夢か…
って思えるほどには、頭の整理がまだついていない。
焼け焦げてしまった食パンにバター。
コーヒーに入れ忘れた角砂糖2つ。
後からミルクも入れ直して、不意に訪れた「冬」にこんにちは。
「いい加減目ぇ覚ましーや、姉ちゃん」
うるさいな。
だからこうしてコーヒーを飲んでるんでしょ。
目を閉じて考える。
当たり前のように朝を満喫している私がにわかには信じ難い。
壁に貼られたカレンダーの日付、間違ってるよ。
だって今は9月だし。
誰がなんと言おうと今は9月だ。
私がおかしい訳がない。
そうだよね、梨紗?
夏がもうすぐ終わるから、今週の日曜日に家族団欒でバーベキューをやろうって約束してた。
季節が変わる前に。
もちろんあんたも覚えてるよね?
忘れたとは言わせない。
言い出しっぺはあんたなんだからね?
「なにそれ、そないなこと言うたっけ?バーベキューって笑。こんな寒い時期にできるわけないやん。第一バーベキューできる道具ないし」
だから日曜までに、ホームセンターに一緒に買いに行こうって話してたじゃないか。
梨紗のバカ。
梨紗は私を見るなり切迫した表情でおでこに手を当てる。
暑苦しいなもう!と言って手を解くけど、心配そうにじっと私を見ている。
妹のくせに世話焼きだ。
「ほんまに大丈夫?熱でもあるんちゃうの?」
熱があったって夏を冬に間違えるバカなんていない。
それにあんたは朝、冷房をガンガンに効かせてソファに寝転がってたじゃないか。
「あぢぃ~」とかなんとかほざいてたのはどこのどいつだ。
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