上 下
628 / 752

628恋愛

しおりを挟む
浩司と飲むようになり、次の休みに有名な臨海公園に行く事になった。
2人だけではなく、ヨシキ達も一緒だが。
ヨシキが運転する車で俺が助手席、後ろに浩司とハジメ。
後ろでは、異世界転生物の小説や漫画の話で盛り上がっている。

「2人とも異世界転生物が好きなの?」
「拓さんには話していなかったですが、俺達この手の話が好きなんですよ。
 それで、良く話しているんです。」

面白そうなので、俺も話しに加わっていると

「拓さんも異世界物の本とか読んでいるんですか?何だか、話しが具体的ですね。」

浩司が聞いて来るが

「その手の小説は読んでないけど、最近 異世界で冒険する夢を見るんだ。
 剣や魔法の世界って面白いよね。でも俺の場合はノンビリした生活の方が良いかな。」

異世界では浩司と恋人として冒険をしている夢なんだが、浩司の事を意識しているからだろうか。
おまけに、浩司はノンケで俺は子供に戻っているという滅茶苦茶な設定。
ノンケが男の子に手を出すって、浩司が変態過ぎるだろう。

「異世界なら森の中の道を、馬車で走っているんですよ。」

ハジメがそう言った時、周囲の風景が深い森になった。

「拓さん、どうしたんです。何か外に見えましたか。」

浩司に声をかけられ、我に返ると車は森では無く町中を走っていた。
「いや、特には」そう答えようとして浩司を見たが、そこには夢で見た冒険者姿の浩司。
いや、普段の浩司より少し年上の様に感じる。

『拓ちゃん、目を覚ませ。戻って来い。』

浩司がそう言っている声が聞こえた様に思ったが、

「拓さん、大丈夫ですか。もう少しすれば道の駅が有るから、少し体を動かしましょうか。」

改めて見ると、普段の浩司が俺に話しかけている。
最近、仕事が忙しかったので、疲れているのだろうか。

「昨日も仕事で遅かったと言っていましたから、疲れているんじゃないですか。
 道の駅についたら、俺が前に行きますから後ろで休んでください。」

ハジメが気を使ってくれる。
道の駅で休憩をした後、後ろに座ると

「拓さん、俺の肩を貸しますよ。」

浩司の言葉に甘えて、肩に寄りかかり少し眠らせてもらう。
夢の中の浩司も、こんな感じで気を使ってくれたと思いながら目を閉じた。

「・・・拓・・・拓さん、付きましたよ。」

揺すられて起きると、目の前に浩司の顔

「もう着いたんだ。完全に寝ちゃったね。おはよう、浩司。」

浩司にキスをしたのだが、

「拓さん、寝ぼけてますよ。しっかりしてください。」

何で浩司はそんな服を着ている?頭がハッキリしてくると夢と間違えてしまった事に気が付いた。

「ごめん、本当に御免ね。」
「本当ですよ。今度は寝ぼけていない時にお願いしますね。」
「えっ?」

どういう事だ。気を使ってくれただけなのか。

「浩司、拓ちゃんは大丈夫?早く行くわよ。」

ヨシキが声を掛けて来たので、浩司が「大丈夫、今行きます。」と返事をし

「拓さん、行きますよ。」

そう言うと、俺にキスをしニッコリと笑う「お返しです。」
可愛い、2回り近く年下にドキドキしている。

丘一面に青い花が咲き乱れている。
そんな景色を、男4人で堪能。俺はカメラ片手に景色を撮りながら浩司をレンズに収める。
気になり始めたら、浩司から目が離せない。
良い男だと思っていたし、会っていて楽しいと思っていたが…
ヨシキとハジメが飲み物を買ってくると言って離れ、浩司と2人だけになると変に緊張する。

「ぎこちなくなってしまいましたね。さっきは、すみませんでした。また今まで通り付き合ってもらえませんか。」
「浩司、俺と付き合ってくれないか。今まで通りとは違う、恋人として。」

浩司が謝ってきたので、誤解だと言おうとしたのだが勢いで告白してしまった。
浩司が少し驚いた顔で俺を見ると、にっこりと笑って

「よろこんで。宜しくお願いします。」

急に恥しくなり、顔が赤くなっているのが分かる。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

鑑定能力で恩を返す

KBT
ファンタジー
 どこにでもいる普通のサラリーマンの蔵田悟。 彼ははある日、上司の悪態を吐きながら深酒をし、目が覚めると見知らぬ世界にいた。 そこは剣と魔法、人間、獣人、亜人、魔物が跋扈する異世界フォートルードだった。  この世界には稀に異世界から《迷い人》が転移しており、悟もその1人だった。  帰る方法もなく、途方に暮れていた悟だったが、通りすがりの商人ロンメルに命を救われる。  そして稀少な能力である鑑定能力が自身にある事がわかり、ブロディア王国の公都ハメルンの裏通りにあるロンメルの店で働かせてもらう事になった。  そして、ロンメルから店の番頭を任された悟は《サト》と名前を変え、命の恩人であるロンメルへの恩返しのため、商店を大きくしようと鑑定能力を駆使して、海千山千の商人達や荒くれ者の冒険者達を相手に日夜奮闘するのだった。

喰らう度強くなるボクと姉属性の女神様と異世界と。〜食べた者のスキルを奪うボクが異世界で自由気ままに冒険する!!〜

田所浩一郎
ファンタジー
中学でいじめられていた少年冥矢は女神のミスによりできた空間の歪みに巻き込まれ命を落としてしまう。 謝罪代わりに与えられたスキル、《喰らう者》は食べた存在のスキルを使い更にレベルアップすることのできるチートスキルだった! 異世界に転生させてもらうはずだったがなんと女神様もついてくる事態に!?  地球にはない自然や生き物に魔物。それにまだ見ぬ珍味達。 冥矢は心を踊らせ好奇心を満たす冒険へと出るのだった。これからずっと側に居ることを約束した女神様と共に……

異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい

増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。 目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた 3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ いくらなんでもこれはおかしいだろ!

異世界は流されるままに

椎井瑛弥
ファンタジー
 貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。  日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。  しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。  これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。

世の中は意外と魔術で何とかなる

ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。 神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。 『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』 平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

スマートシステムで異世界革命

小川悟
ファンタジー
/// 毎日19時に投稿する予定です。 /// ★☆★ システム開発の天才!異世界転移して魔法陣構築で生産チート! ★☆★ 新道亘《シンドウアタル》は、自分でも気が付かないうちにボッチ人生を歩み始めていた。 それならボッチ卒業の為に、現実世界のしがらみを全て捨て、新たな人生を歩もうとしたら、異世界女神と事故で現実世界のすべてを捨て、やり直すことになってしまった。 異世界に行くために、新たなスキルを神々と作ったら、とんでもなく生産チートなスキルが出来上がる。 スマフォのような便利なスキルで異世界に生産革命を起こします! 序章(全5話)異世界転移までの神々とのお話しです 第1章(全12話+1話)転生した場所での検証と訓練 第2章(全13話+1話)滞在先の街と出会い 第3章(全44話+4話)遺産活用と結婚 第4章(全17話)ダンジョン探索 第5章(執筆中)公的ギルド? ※第3章以降は少し内容が過激になってきます。 上記はあくまで予定です。 カクヨムでも投稿しています。

異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~

樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。 無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。 そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。 そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。 色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。 ※この作品はカクヨム様でも掲載しています。

処理中です...