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604腕試し
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朝早く、テントを片づけ馬車の準備をしていると
「「「おはようございます」」」
昨日来た、獣人の冒険者達がやって来た。
「今回、俺達が案内させてもらいます。」
昨日の代表のネコ族の男と犬族の男が2人前に出て自己紹介
トウさん、バンさん、ジャンさんだ。
運転席に兵士とトウさん達が乗り込み、遺跡に向かって出発する。
地元だけの事があり、休める場所を把握していて、まる1日掛かる移動行程だったが疲れは少なかった。
安全の為、遺跡よりかなり手前で馬車を止めテントを用意する。
獣人の3人はマントに包まり寝るつもりだった様だが、テントを用意させてもらった。
次の日、俺達は遺跡周辺の調査へと出発した。
クリスティーヌさん、兵士の4人とトムさん達はここで俺達が調査から戻って来るまで待機してもらう。
身支度を終え、俺達が出発しようとすると
「ちょっと待ってくれないか。
口出しして申し訳ないが、か弱い女性や子供を連れて行くのか。」
トウさんがそう言うと、ジェニファーさんが「か弱い女性だなんて」と喜んでいる。
ラグテルの町やマクニス王国だとAランク冒険者として顔が売れているのでか弱いなんて言われる事は無く、トウさんよりジェニファーさんの方が強いだろう。
「心配してくれるのは嬉しいが、大丈夫だ。
拓、トウさんと手合わせしてもらえるか。」
ガラが俺に話を振ってくる。何でと思ったが
『良い判断じゃな。奴も拓に負ければ実力を認めるじゃろう。
この場を収めるなら、一気に決めるのが一番じゃぞ。』
成程、一番弱そうな俺が実力を見せるのが最善という事か。やってみるか。
探検の前に無駄な魔力の消費は抑えたいので、一気に行かせてもらう。
「トウさん、拓、準備は良いか。先に一本取った方の勝ちとする。始め。」
ガラの合図で、俺は闇の魔力で気配を消し一気にトウさんの懐に入った。
そして、トウさんの喉元を剣の柄で軽く叩く。
「そこまで。」
ガラの言葉で試合は俺の勝ちで終了したが、トウさんが愕然としている。
「一体、何者なんだ。闇の魔力を纏って気配を消したんだよな。
1対1の試合で、気配を全く掴むことすら出来ないなんて・・・Aランク冒険者なのか。」
「いえ、俺はCランクの冒険者です。
ただ、気配を消すのと逃げ足の速さなら自信が有ります。
とりあえず、斥候としてなら役に立てますよ。」
「実力を疑ってすまなかった。是非、この原因を突き止めてくれ。」
どうやら、トウさんも納得してくれたみたいだ。
『我輩が聞いた話にゃら、小細工無しの実力による打ち合いの場面だったにゃ。
拓の早さに相手が付いて来れないにゃら分かるけど、気配を消すのはどうかと思うにゃ
そろそろ拓は、主人公っぽい戦いをした方が良いにゃ。』
このデブ猫は勝手なことを言ってくれる。
小細工無しで勝てれば苦労はしない。俺にそれだけの剣術が有る訳無いだろう。
うっそうと木が茂る丘を越えると窪地になっていて、この先に湖に浮かぶ遺跡がある。
過去の記録を見ると、窪地の中の方が魔獣が多く生息している可能性が高い。
安全を考慮し、俺達は窪地の淵に沿って、初めに魔獣が目撃された北側に向かう。
「嫌な風だ。これは一雨来るな。」
レオが天気の崩れを感じると、北側の斜面に着く頃には土砂降りの雨になっていた。
「この雨の中を動くのは危険だ。タープを張って天気が回復するのを待とう。」
ガラに指示され、木々の間にタープをセットし休憩。
今の内に、おにぎりと味噌汁で腹ごしらえをする。
雨で体が冷えていたのか、味噌汁の温かさが体にしみる。
食事をしながら、ここまで歩いて来る間の探索魔法の結果を話した。
「周囲を調べながら歩いて来たけど、結構魔獣が居るね。
特に窪地の下の方、闇の魔力も下の方が濃くなっている。」
遺跡が関係しているのか、リッチの様な強力な闇の魔力を纏う魔物が住みついたかといった所だろうか。
下へ降りる前に休んでおいた方が良いだろう。
俺はいつの間にか寝てしまい、起きた時には雨も止み木々の隙間から青空が覗いていた。
北側を調べてみたが、特に気になる物は何も無かった。
ガラの推測した通り、魔獣が北側に広がる森よりやって来たのを目撃したのだろう。
そうなると、ここから先が本番だ。
魔獣が集まる窪地の底、湖に向かって移動を開始した。
******(クリスティーヌ)
姫様とヨハン王子から手紙を受け取りました。
「クリスティーヌ、私達に何か有った時にはこの手紙をそれぞれの王国に届けて。」
封筒には王族の印が施してあり、宛先は国王様。
「今回の遺跡探索は王族命令で私達が冒険者を強制的に案内をさせた事にします。」
自分達に何か有った時、皆様に迷惑を掛けないようにの配慮。
必ず、使命を果たさせて頂きますが、この様な手紙が必要の無いことを願います。
どうか、皆様がご無事に戻って来られますよう心よりお祈りいたします。
「「「おはようございます」」」
昨日来た、獣人の冒険者達がやって来た。
「今回、俺達が案内させてもらいます。」
昨日の代表のネコ族の男と犬族の男が2人前に出て自己紹介
トウさん、バンさん、ジャンさんだ。
運転席に兵士とトウさん達が乗り込み、遺跡に向かって出発する。
地元だけの事があり、休める場所を把握していて、まる1日掛かる移動行程だったが疲れは少なかった。
安全の為、遺跡よりかなり手前で馬車を止めテントを用意する。
獣人の3人はマントに包まり寝るつもりだった様だが、テントを用意させてもらった。
次の日、俺達は遺跡周辺の調査へと出発した。
クリスティーヌさん、兵士の4人とトムさん達はここで俺達が調査から戻って来るまで待機してもらう。
身支度を終え、俺達が出発しようとすると
「ちょっと待ってくれないか。
口出しして申し訳ないが、か弱い女性や子供を連れて行くのか。」
トウさんがそう言うと、ジェニファーさんが「か弱い女性だなんて」と喜んでいる。
ラグテルの町やマクニス王国だとAランク冒険者として顔が売れているのでか弱いなんて言われる事は無く、トウさんよりジェニファーさんの方が強いだろう。
「心配してくれるのは嬉しいが、大丈夫だ。
拓、トウさんと手合わせしてもらえるか。」
ガラが俺に話を振ってくる。何でと思ったが
『良い判断じゃな。奴も拓に負ければ実力を認めるじゃろう。
この場を収めるなら、一気に決めるのが一番じゃぞ。』
成程、一番弱そうな俺が実力を見せるのが最善という事か。やってみるか。
探検の前に無駄な魔力の消費は抑えたいので、一気に行かせてもらう。
「トウさん、拓、準備は良いか。先に一本取った方の勝ちとする。始め。」
ガラの合図で、俺は闇の魔力で気配を消し一気にトウさんの懐に入った。
そして、トウさんの喉元を剣の柄で軽く叩く。
「そこまで。」
ガラの言葉で試合は俺の勝ちで終了したが、トウさんが愕然としている。
「一体、何者なんだ。闇の魔力を纏って気配を消したんだよな。
1対1の試合で、気配を全く掴むことすら出来ないなんて・・・Aランク冒険者なのか。」
「いえ、俺はCランクの冒険者です。
ただ、気配を消すのと逃げ足の速さなら自信が有ります。
とりあえず、斥候としてなら役に立てますよ。」
「実力を疑ってすまなかった。是非、この原因を突き止めてくれ。」
どうやら、トウさんも納得してくれたみたいだ。
『我輩が聞いた話にゃら、小細工無しの実力による打ち合いの場面だったにゃ。
拓の早さに相手が付いて来れないにゃら分かるけど、気配を消すのはどうかと思うにゃ
そろそろ拓は、主人公っぽい戦いをした方が良いにゃ。』
このデブ猫は勝手なことを言ってくれる。
小細工無しで勝てれば苦労はしない。俺にそれだけの剣術が有る訳無いだろう。
うっそうと木が茂る丘を越えると窪地になっていて、この先に湖に浮かぶ遺跡がある。
過去の記録を見ると、窪地の中の方が魔獣が多く生息している可能性が高い。
安全を考慮し、俺達は窪地の淵に沿って、初めに魔獣が目撃された北側に向かう。
「嫌な風だ。これは一雨来るな。」
レオが天気の崩れを感じると、北側の斜面に着く頃には土砂降りの雨になっていた。
「この雨の中を動くのは危険だ。タープを張って天気が回復するのを待とう。」
ガラに指示され、木々の間にタープをセットし休憩。
今の内に、おにぎりと味噌汁で腹ごしらえをする。
雨で体が冷えていたのか、味噌汁の温かさが体にしみる。
食事をしながら、ここまで歩いて来る間の探索魔法の結果を話した。
「周囲を調べながら歩いて来たけど、結構魔獣が居るね。
特に窪地の下の方、闇の魔力も下の方が濃くなっている。」
遺跡が関係しているのか、リッチの様な強力な闇の魔力を纏う魔物が住みついたかといった所だろうか。
下へ降りる前に休んでおいた方が良いだろう。
俺はいつの間にか寝てしまい、起きた時には雨も止み木々の隙間から青空が覗いていた。
北側を調べてみたが、特に気になる物は何も無かった。
ガラの推測した通り、魔獣が北側に広がる森よりやって来たのを目撃したのだろう。
そうなると、ここから先が本番だ。
魔獣が集まる窪地の底、湖に向かって移動を開始した。
******(クリスティーヌ)
姫様とヨハン王子から手紙を受け取りました。
「クリスティーヌ、私達に何か有った時にはこの手紙をそれぞれの王国に届けて。」
封筒には王族の印が施してあり、宛先は国王様。
「今回の遺跡探索は王族命令で私達が冒険者を強制的に案内をさせた事にします。」
自分達に何か有った時、皆様に迷惑を掛けないようにの配慮。
必ず、使命を果たさせて頂きますが、この様な手紙が必要の無いことを願います。
どうか、皆様がご無事に戻って来られますよう心よりお祈りいたします。
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