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600風土病

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2日間、俺達がジャポの町を散策している間、護衛の兵士が荷物番をしてくれていたので
今日は俺達が荷物番をする事にし兵士には休みを取ってもらった。

レオやハンスさん、ダニエルさんは購入してきた食材で料理を試してみるらしい。
トムさんや女性陣はその手伝いという名のつまみ食い。当然の様にヤマトも参加している。
残りは武術の訓練を行うみたいだ。
俺と浩司は馬車の改造、キャンピング馬車の作成に取り掛かった。
大体の構想は決まっていて、窓を付け、簡単なキッチンスペースに折りたたみのテーブルをセットする。
皆の意見を聞いて細かい修正を行った後、残り2台の馬車も同様の改造を施した。

外食をして戻ってきた兵士は

「凄いです。これはちょっとした部屋じゃないですか。」
「ベット、机にキッチン。冷蔵庫まで付いている。」
「こんな改造を1日で行ったのですか。」
「俺の部屋より豪華じゃないか。」

どうやら気に入ってくれたみたいだ。
馬車が良くなれば、旅がもっと楽しくなるだろう。


今日は遺跡に向かう為に、ギルド会館で遺跡周辺の情報を入手していたのだが
強力な魔物が出没するようになっているらしい。

今回の目的は、サリナ姫とヨハン王子を危険から遠ざける事なので、危険に近づく訳にはいかない。
ただ、せっかくなので安全な依頼でも受けてみようかとの話しになり掲示板を見たのだが

「何だか、薬草採取の依頼が多いな。」

魔獣の討伐は普通にあるが、同じ薬草採取の依頼が多い。

「このジャパの町特有の風土病があるらしいぞ。
 死ぬことは無いが、手足が痺れて普通に生活するのも大変らしい。
 その薬草の生えている場所が遺跡の近くなんだそうだ。
 薬草が手に入らず、もう在庫も底をついている。」

ガラがギルド職員から入手した情報を教えてくれた。
Aランク冒険者だと、低ランク冒険者より提示される情報が多いらしい。
Aランク冒険者が11人もいるとなると目立ち過ぎるので、OZだけがギルド会館の受付を行いガラが情報収集を担当してくれた。

グリムやリッチに風土病について聞いてみたが

『さすがに儂でも来た事の無い地方の風土病までは分からんな。』
『リッチは状態を確認しないと分からにゃいけど、心当たりが有るらしいにゃ。
 ただ、知っている病気だとしても、完治させる方法は知らないそうにゃ。
 薬で症状を抑えるだけだと言っているにゃ。』

とりあえず、症状を確認しないと何とも言えないだろう。
これからどうしたら良いかと考え、ガラに話しかけようとすると

「分かっている。遺跡周辺に出没する魔獣の情報を調べれば良いんだろ。」

そう言って、受付カウンターの方へ歩いていった。

テントに戻って情報を整理すると遺跡のある場所は盆地状になっていて、闇の魔力が溜まっているらしい。
その魔力に魔獣が引き寄せられてしまい、人が立ち入るのが厳しい状態になっている。
魔力が溜まった原因は分からず、対応に困っていた。

「魔獣で危険なのはBランクのリオンだな。
 他には魔獣はケルベロスやダークウルフ、キラービー等も目撃されている。」

リオンというのは闇と雷の魔法を扱う見た目がライオンに近い魔物だ。
Bランクの魔獣だと50人位の冒険者が必要か。
確かに、対応するのは難しいだろう。
国が対応する案件だと思うが、貴族の処罰が終わるまでは無理だ。すると、

「私達が足手まといになるのは分かっていますが
 闇の魔力が溜まった原因を調べられないでしょうか。」
「俺からも頼む。調査だけでも行ってみないか。」

やはり、サリナ姫とヨハン王子ならそう言うだろうと思った。

「調査自体は問題ない。
 俺達だけなら、拓と浩司が必ず首を突っ込んでいるからな。
 但し、今回はサリナさんやヨハンの護衛を兼ねているからどうしたものか。」

ガラは余計な事を言うが、確かに2人の護衛をしている状態では賛成しかねる。
ガゼルス将軍とクリスティーヌさんの意見を伺うと

「若なら、そう言うと思っていました。私は、若の意見に従います。
 ただ、サリナ様には残って頂いた方が良いかと思います。」
「調査には賛成ですが、姫様が行かれるのは止めた方が良いかと。」

流石にサリナ姫が行くのには反対みたいだ。

「まって、私1人が安全な所に居る訳にはいかない。
 それに、今回の闇の魔力が遺跡と関係有るなら、私に知識が役に立ちます。
 これでも、遺跡に対する知識はポトリ教授も認めてくれているわ。」

サリナ姫の押しに負けて、結局全員で行く事になった。
但しサリナ姫は必ず俺達の指示に従ってもらい、危険だと感じたら直ぐに引き返すのが絶対の条件だ。
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