上 下
589 / 752

589歓迎会

しおりを挟む
変装したサリナ姫達が外を歩いているが、誰も気が付かない。
初めは緊張していたサリナ姫達も、直ぐに安心して普段通りになっていた。
ガゼルス将軍は何時もと違う自分の姿を気に入ったみたいで、逆に人目を意識しているみたいだ。

市場では、必要な物を手当たり次第に購入する。
クリームのメンバーが拡張バッグを使っているので、どれだけ買っても問題ない。
米に小麦、野菜に根菜類。

「拓ちゃん、流石にこれは買い過ぎじゃないの。」

サリナ姫は、購入量に驚いているが

「今年は、豊作で出来が良い食材が安いですから。
 家には保管用の箱が有りますし、今の内に大量に購入しておくんです。
 その方が、経済的でしょ。」

家にはミスリルで作った拡張ボックスを用意しているので、食料を劣化させずに保管する事ができる。
俺の腕に付けているアイテムボックスにも既に大量の食材がしまってある。

「拓ちゃん達の価値観って、本当に特殊よね。
 あの拡張ボックスを家庭で食料の保管に使うなんて考えられないわ。」

サリナ姫はそう言うが、食料の確保は第一優先事項だろう。
何が起こるか分からない世界なら尚更だ。


その後は、ジェニファーさんとロビンさんを先頭に小物を物色
色々と購入し、サリナ姫とヨハン王子の村人化の強化を行っている。
いつの間にか、ヨハン王子は根暗なオタクから知的な学生に昇格していた。
その後、町中散策をし、砂糖を扱っている店の前まで来ると

「私ったら、うっかりしていたわ。未だサリナ達の歓迎会も開いていないじゃない。」

本当にワザとらしい話し方のジェニファーさん
サリナ姫とヨハン王子が断ろうとしたが

ロビン「それは良くないわ。私達は本当に大切な事を忘れていたわね。」
ニコラス「歓迎会か。やはりケーキは欠かせないよな。」
ジーク「ショートケーキも良いが、チョコレートケーキ、チーズケーキ、タルトなんかも捨てがたい。」
トム「これだけの人数が居るなら、羊羹やどら焼き、大福も有っても良いかも知れないね。」

サリナ姫達の断りの言葉を押し留め、お笑い集団クリームによる3文芝居が始まった。
それも、俺達の方をチラチラと見ながら。
流石に俺達だけでなく、ガゼルス将軍も苦笑してしまう。

「歓迎会か。せっかくだから色々なデザートを用意したお茶会も良いかもしれないな。」

レオが何時もの様に甘やかすと、直ぐに店に入って砂糖を購入している。
しかも、砂糖は高級品というのに大量に。ケーキバイキングでも開きたいのだろうか。
俺が他の材料も買おうと言うと

「大丈夫よ。砂糖を手に入れたからチョコレート以外は全て揃っているわ。
 色々な種類のフルーツも用意してあるから大丈夫。
 ケーキを何十個も作れるわよ。」

満面の笑みで答えるジェニファーさん。

「小豆は僕のバッグに入っているから安心してくれて良いよ。」

何を安心すれば良いのか分からないが、自分の拡張バッグを叩く満面の笑みのトムさん。
本気で、ケーキバイキングを開くつもりだ。
本当にこの人達は・・・。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

鑑定能力で恩を返す

KBT
ファンタジー
 どこにでもいる普通のサラリーマンの蔵田悟。 彼ははある日、上司の悪態を吐きながら深酒をし、目が覚めると見知らぬ世界にいた。 そこは剣と魔法、人間、獣人、亜人、魔物が跋扈する異世界フォートルードだった。  この世界には稀に異世界から《迷い人》が転移しており、悟もその1人だった。  帰る方法もなく、途方に暮れていた悟だったが、通りすがりの商人ロンメルに命を救われる。  そして稀少な能力である鑑定能力が自身にある事がわかり、ブロディア王国の公都ハメルンの裏通りにあるロンメルの店で働かせてもらう事になった。  そして、ロンメルから店の番頭を任された悟は《サト》と名前を変え、命の恩人であるロンメルへの恩返しのため、商店を大きくしようと鑑定能力を駆使して、海千山千の商人達や荒くれ者の冒険者達を相手に日夜奮闘するのだった。

喰らう度強くなるボクと姉属性の女神様と異世界と。〜食べた者のスキルを奪うボクが異世界で自由気ままに冒険する!!〜

田所浩一郎
ファンタジー
中学でいじめられていた少年冥矢は女神のミスによりできた空間の歪みに巻き込まれ命を落としてしまう。 謝罪代わりに与えられたスキル、《喰らう者》は食べた存在のスキルを使い更にレベルアップすることのできるチートスキルだった! 異世界に転生させてもらうはずだったがなんと女神様もついてくる事態に!?  地球にはない自然や生き物に魔物。それにまだ見ぬ珍味達。 冥矢は心を踊らせ好奇心を満たす冒険へと出るのだった。これからずっと側に居ることを約束した女神様と共に……

異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい

増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。 目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた 3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ いくらなんでもこれはおかしいだろ!

異世界は流されるままに

椎井瑛弥
ファンタジー
 貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。  日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。  しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。  これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。

世の中は意外と魔術で何とかなる

ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。 神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。 『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』 平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~

樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。 無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。 そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。 そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。 色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。 ※この作品はカクヨム様でも掲載しています。

治癒術師の非日常―辺境の治癒術師と異世界から来た魔術師による成長物語―

物部妖狐
ファンタジー
小さな村にある小さな丘の上に住む治癒術師 そんな彼が出会った一人の女性 日々を平穏に暮らしていたい彼の生活に起こる変化の物語。 小説家になろう様、カクヨム様、ノベルピア様へも投稿しています。 表紙画像はAIで作成した主人公です。 キャラクターイラストも、執筆用のイメージを作る為にAIで作成しています。 更新頻度:月、水、金更新予定、投稿までの間に『箱庭幻想譚』と『氷翼の天使』及び、【魔王様のやり直し】を読んで頂けると嬉しいです。

処理中です...