上 下
560 / 752

560毒の収集依頼

しおりを挟む
次の日、朝早くからゾロゾロとギルド会館に向かった。
このメンバーで行動して目立たない訳が無い。
おまけに、サリナ姫達はフードで顔を隠して怪しい存在になっているし・・・

「サリナお姉さん。あまりはしゃがないでください。
 もしかすると顔を知っている人も居るかも知れませんので気を付けて。」

「大丈夫よ。私だってその位は心得ているわよ。」

そうは言うが、本当に大丈夫なのかは疑問だ。

「これがギルドなのね。本当に飲み屋が有るわ。
 殺伐としているかと思ったけど、良い雰囲気なのね。
 あれが依頼が張られている掲示板ね。早く行くわよ。」

急かされる様に掲示板に向かったが、本当に大丈夫だろうか。

「結構な依頼が有るのね。魔獣退治の他にも家の修理や畑の手伝い。
 良く分からないけど、毒の収集依頼が多くないかしら。」

「そうなのよね。最近になっていきなり増えたのよ。
 入手した分だけ買い取るから金額としては安いけど
 Dランク冒険者にとっては、確実な稼ぎになってるみたいね。」

「ただ、使い道が分からないわ。
 一般的な毒の使い方は、魔獣を痺れさせたりして動きを止めるとかだけど。
 集めているのは、空気に晒したら1日も経たずに毒の効果なんて無くなるしね。」

「それで、魔獣の体内にある毒袋に入った状態での納品になっているのね。」

「そうだと思うわ。
 この手の毒は、人に対しても効果があるから、依頼主が毒を集める目的を確認したけど
 『ギルドマスターが信頼できる方の依頼で、目的までは知らされてない。』ですって。
 ギルドマスター公認なら問題は無いと思うけど、疑問は残るわね。」

サリナ姫、ジェニファーさんとロビンさんの会話が弾んでいるが、結構周りから注目されている。
サリナ姫はフードを被っているが、綺麗なAランク女性冒険者と話していれば、目立たないようにして欲しいと言うのが無理だろう。

「ヤマト、サリナお姉さんに付いて気配を隠す様にしてもらえるか。」

『全く世話が焼けるにゃ。』

ヤマトはサリナ姫に抱きかかえられると、少し気配を隠して目立たなくしてくれた。

掲示板の張り紙をから、トムさんとダニエルさんが畑を荒らす魔獣の退治依頼を選んできた。
ラッターという巨大なネズミの様な魔獣で攻撃力は低いが、数が多く人数が必要になる。
Dランクの冒険者への依頼だが、報酬が少なくて受ける人が居ないみたいだ。

「畑が襲われ、新しく苗を入手する必要も有って報酬が余り出せないらしい。
 報酬が少ない分、退治したラッターの後始末は村人にして貰うのも可能だって。
 それに、ラッダー退治は僕等の盾の練習にもなるからどうだろう。」

トムさんの言う通り盾の練習にもなるのかもしれないが、助けてあげたいという気持ちもあるのだろう。
それにサリナ姫達も居るので安全な方が良いと全員が賛成していた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

喰らう度強くなるボクと姉属性の女神様と異世界と。〜食べた者のスキルを奪うボクが異世界で自由気ままに冒険する!!〜

田所浩一郎
ファンタジー
中学でいじめられていた少年冥矢は女神のミスによりできた空間の歪みに巻き込まれ命を落としてしまう。 謝罪代わりに与えられたスキル、《喰らう者》は食べた存在のスキルを使い更にレベルアップすることのできるチートスキルだった! 異世界に転生させてもらうはずだったがなんと女神様もついてくる事態に!?  地球にはない自然や生き物に魔物。それにまだ見ぬ珍味達。 冥矢は心を踊らせ好奇心を満たす冒険へと出るのだった。これからずっと側に居ることを約束した女神様と共に……

鑑定能力で恩を返す

KBT
ファンタジー
 どこにでもいる普通のサラリーマンの蔵田悟。 彼ははある日、上司の悪態を吐きながら深酒をし、目が覚めると見知らぬ世界にいた。 そこは剣と魔法、人間、獣人、亜人、魔物が跋扈する異世界フォートルードだった。  この世界には稀に異世界から《迷い人》が転移しており、悟もその1人だった。  帰る方法もなく、途方に暮れていた悟だったが、通りすがりの商人ロンメルに命を救われる。  そして稀少な能力である鑑定能力が自身にある事がわかり、ブロディア王国の公都ハメルンの裏通りにあるロンメルの店で働かせてもらう事になった。  そして、ロンメルから店の番頭を任された悟は《サト》と名前を変え、命の恩人であるロンメルへの恩返しのため、商店を大きくしようと鑑定能力を駆使して、海千山千の商人達や荒くれ者の冒険者達を相手に日夜奮闘するのだった。

異世界は流されるままに

椎井瑛弥
ファンタジー
 貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。  日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。  しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。  これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。

世の中は意外と魔術で何とかなる

ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。 神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。 『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』 平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。

治癒術師の非日常―辺境の治癒術師と異世界から来た魔術師による成長物語―

物部妖狐
ファンタジー
小さな村にある小さな丘の上に住む治癒術師 そんな彼が出会った一人の女性 日々を平穏に暮らしていたい彼の生活に起こる変化の物語。 小説家になろう様、カクヨム様、ノベルピア様へも投稿しています。 表紙画像はAIで作成した主人公です。 キャラクターイラストも、執筆用のイメージを作る為にAIで作成しています。 更新頻度:月、水、金更新予定、投稿までの間に『箱庭幻想譚』と『氷翼の天使』及び、【魔王様のやり直し】を読んで頂けると嬉しいです。

異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい

増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。 目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた 3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ いくらなんでもこれはおかしいだろ!

「やり直しなんていらねえ!」と追放されたけど、セーブ&ロードなしで大丈夫?~崩壊してももう遅い。俺を拾ってくれた美少女パーティと宿屋にいく~

風白春音
ファンタジー
セーブ&ロードという唯一無二な魔法が使える冒険者の少年ラーク。 そんなラークは【デビルメイデン】というパーティーに所属していた。 ラークのお陰で【デビルメイデン】は僅か1年でSランクまで上り詰める。 パーティーメンバーの為日夜セーブ&ロードという唯一無二の魔法でサポートしていた。 だがある日パーティーリーダーのバレッドから追放宣言を受ける。 「いくらやり直しても無駄なんだよ。お前よりもっと戦力になる魔導士見つけたから」 「え!? いやでも俺がいないと一回しか挑戦できないよ」 「同じ結果になるなら変わらねえんだよ。出ていけ無能が」  他のパーティーメンバーも全員納得してラークを追放する。 「俺のスキルなしでSランクは難しかったはずなのに」  そう呟きながらラークはパーティーから追放される。  そしてラークは同時に個性豊かな美少女達に勧誘を受け【ホワイトアリス】というパーティーに所属する。  そのパーティーは美少女しかいなく毎日冒険者としても男としても充実した生活だった。  一方バレッド率いる【デビルメイデン】はラークを失ったことで徐々に窮地に追い込まれていく。  そしてやがて最低Cランクへと落ちぶれていく。  慌てたバレッド達はラークに泣きながら土下座をして戻ってくるように嘆願するがもう時すでに遅し。  「いや俺今更戻る気ないから。知らん。頑張ってくれ」  ラークは【デビルメイデン】の懇願を無視して美少女達と楽しく冒険者ライフを送る。  これはラークが追放され【デビルメイデン】が落ちぶれていくのと同時にラークが無双し成り上がる冒険譚である。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

処理中です...