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539オリジナル

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その後も会議は続いたのだが、俺と浩司、ヤマトは先に休ませてもらう事にした。
自分達に用意された部屋に戻った所で、気になっていた事を確認する。

「グリム、あの魔道師は一体誰だったんだ。」

暫くの間が有った後、グリムが答えてくれた。

『奴は儂じゃ。正確には儂のオリジナルじゃ。あれは儂の20代の頃の姿じゃな。』

あの美形がグリムの若かりし時の姿だと。
俺が知っている、サンタの姿が似合いそうなグリムとはかけ離れている。
いや、そんな事より

「何故、グリムがあいつ等と組んでいるんだ。
 グリムは、獣人に対して偏見を持っていたのか。
 それに、グリムが本に自分の一部を移した時は、老人じゃなかったのか。
 どうして、若返っていたんだ。」

全てにおいて、疑問が生じてしまう。

『儂にも分からん。
 儂が造られた時には、獣人に対する偏見は無かった。
 元々、その様な偏見がある時代ではなかったしな。
 人間だろうが、獣人だろうが関係はない。
 若返りについても儂にはその方法は見当もつかん。
 しかし、奴は儂のオリジナルで間違いないじゃろう。
 ずっと気になっていたんじゃ。何故、儂ではなく拓と浩司が転生されたのかと。
 答えは簡単な事じゃった。オリジナルが生きていたからじゃ
 生きているのなら転生しなかったのは当り前じゃ。』

その後、グリムの力について聞いてみたが
持っている魔力属性は木の属性以外は全てだった。
保有魔力については俺達の半分位だが、ガリウム鉱石で作った魔道具を所持し魔力を蓄えている。
持っていた杖はグリムが所持していた中で最も使いなれた魔道具で、中級までの全属性の魔法を使える。
話を聞いていると、かなりチートな魔道士だ。

「グリムとしてはオリジナルと戦う事になったらどうするんだ。」

魔道師がグリムのオリジナルと聞いて、一番気になっていた事だ。

『ナターシャ達と組んでいるのなら止めるしか無いじゃろう。
 以前に拓が言ったように、儂はオリジナルとは違う別の人格じゃ。
 オリジナルが間違った道を進むのであれば、倒してでも止めさせる。
 力を貸して欲しい。』

「俺は良いぞ。自分達の師匠の事なら、他人事ではないかならな。
 拓ちゃん、ヤマトはどうする。」

『吾輩も問題無いにゃ。』

「無視できる話ではないしね。
 それにしても、グリムに弱点は無いのか。」

『ふっ、そんなものが無いから大魔道師なんじゃ。』

このタイミングで自慢されても困るのだが、大魔道師は伊達ではないか。
しかし、浩司やヤマトと一緒なら足止め位は出来るだろう。
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