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「ちなみに、グリム大魔道師の良い話は有りませんか。」
「そう言えば、2人の師匠もグリムという名前だったな。
 強い力を持っていたので囲い込みたい貴族も多く、
 普通に接していれば問題ないが高飛車な貴族に対しては容赦なく叩き潰したらしい。
 その中には酷い貴族も居たらしく、喜んだ領民も居たと聞く。」

良い話はその程度しかないのか。
最後に「2人には、そうはなって欲しくないな。」と笑いながら子供達と遊ぶサリナ姫の方へ移動した。

『言っておくが、叩き潰したのは、酷い貴族だけじゃからな。』

『にゃら仕方無いにゃ。馬鹿は潰した方が良いからにゃ。』

グリムなら言われている程、怒りだす沸点は低くは無いだろう。
ただ、酷い貴族は徹底的に潰していたと思う。

今日と明日の夜は秋祭りが有ると伺っていたので、子供達とは夜に会う約束をして別れた。

「ロダン侯爵、去年は7日間ですが、今年は短いですね。」

「逆だ。昨年は秋祭りと、この領地の復活の祈願をかけていたからな。
 拓殿のお陰で、この短期間でここまで復活する事ができた。
 本当に、心から感謝をする。」

俺に頭を下げるロダン侯爵に

「もう、この件で礼を述べてもらうのは十分です。
 ここまで復活できたのも、皆さんが頑張ったからです。
 それに、一番力を貸したのはブルネリさんで、私が行ったのは後押し位ですよ。」

俺が手を貸した分は、充分に返してもらっている。
そして、今回用意した自転車やボートは一式譲るので、今後の管理をお願いすると

「拓殿、それは受け取り過ぎだ。
 自転車にしてもブルネリ公爵邸で見たが、未だ出回っていない。
 それに、あのガラスのボートはミスリルを混ぜて作られた特殊素材だ。
 その価値が分からない訳ではないだろう。」

「勿論、私にとっても大きなメリットが有ります。
 自転車に関しては、ここで貴族や金持ちに使ってもらえれば、良い宣伝になると考えています。
 出来れば、冒険者の私が乗っても問題ない位に広まれば良いかと思っています。
 ガラスのボートは、こちらで楽しむ為の道具として作りました。
 自分で思っていた以上に面白かったので、管理してもらえればまた楽しめますし。
 せっかくなので、次に泊まるときにも乗りたいですし、これから泊まる方にも楽しんでもらえたら良いかと思っています。」

ロダン侯爵は暫く黙っていたが受け取る事を承知してくれた。
正直、俺が持っていても仕方が無く、せっかく作った物を壊したくはない。
ここで、皆が楽しめた方が良いだろう。


夜は秋祭りに参加。
領民が声を掛てくれ、屋台巡りでオマケをしてもらったり、光と水の舞台を見ているのだが
浩司に色目を使ってくる女性が多く、やたらと体を密着させる女まで居る。
「浩司の恋人は俺だ。」と言いたいが、男同士の付き合いだと言い出せない。
そんな俺を見た浩司が、俺の肩に手を回すと

「2人で回ろうぜ。せっかくの祭りなんだからさ。」

グリムとヤマトが笑っているが気にせず、浩司と祭りを楽しんだ。
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