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502意地汚い
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食事も終わり、デザートに切った果物を出すと兵士達のテーブルの分が一瞬にして無くなった。
追加で出すと、またしても一瞬にして無くなる。
皆さんがニコニコと嬉しそうな顔をしているので、更に追加で出そうとすると、
「拓殿、こいつらを甘やかすのはその辺で終わりにして下さい。」
との天の声ではなく、オリバー隊長の言葉
「えっ」と思わず声を出した兵士には、頭に拳骨が落ちた。
この状態を見て、浩司が拡張バッグから取り出そうとした物をしまい直そうとすると
「浩司さんは何を取り出そうとしたのです。」
サリナ姫に聞かれて浩司が拡張バッグから取り出したのはチョコレートケーキ
困った顔のオリバーさんに対し、バラン将軍が笑い始めた。
「浩司殿、ここに居る人数分は有るのだろうか。」
「量を作って有りますから大丈夫ですよ。」
そのまま、拡張バッグから4ホールも取り出すと「「「お~~」」」との歓声が上がる。
今回のはチョコレートを安く売ってくれているクロイツ伯爵にも食べてもらう為、浩司が研究を重ねて作り上げた最新作だ。
味は濃厚、見た目も綺麗だ。
この為に用意しておいたガラスのケーキ皿によそって全員に配った。
「もしかしてチョコレートと生クリームを組み合わせたの。凄く濃厚で美味しいわ。」
「俺もこんな美味いのは初めて食べた。チョコレートがこんな風になるのか。」
サリナ姫やヨハン王子も喜び、兵士達からも
「こんなの初めて食べた。」「チョコレート味の生クリームだ。」「貴族にでもなった気分だ。」
と絶賛の声が上がる。一番食べて欲しかったクロイツ伯爵は
「こんな菓子が作れるなんて考えもしなかった。
普通に食べるより濃厚で、チョコレートを使った別の食べ物だな。」
チョコレートの凄さを理解しようとしていたみたいだ。
喜んでもらえたのは良かったが、最後に問題が発生した。
浩司の手元にチョコレートケーキ2ピースが残っている。
濃厚で1ピースで十分だと思っていたが、他の人達は違うらしい。
全員が黙ったまま、ケーキを見ている。
「欲しい人がジャンケンをして、勝った2人が食べるのではどうかな。」
浩司の提案に反応し希望者から一斉に手が上った。
流石にサリナ姫達は手を上げなかったが、アーク、クリームまで手を上げている。
「アークやクリームは今回は譲りましょうよ。
チョコレートはまた購入出来ますので、別に食べる機会は有りますから。」
俺の言葉に渋々と手を下したが、恨めしそうな目で見るのは止めて欲しい。
この人達、大量に砂糖や果物を買ってきては浩司に菓子を作ってもらっているのに、どこまで食い意地が張っているんだ。
『拓と浩司に吾輩の分をお願いしたいけど、諦めるしかないにゃ。
しかし、ここまで真剣になるものにゃのか。』
『これが人間の欲望と言いたいが、この場合は、意地汚いだけじゃな。』
ヤマトとグリムが呆れる程、兵士達のジャンケンは白熱している。
勝ち残ったのは、男女1名づつ。
2人とも他の兵士に見せびらかしながら食べている。
女性兵士は、今回一緒に来ているもう1人の女性兵士と分けていたが
男性兵士は、他の兵士からの視線を楽しみながら優越感に浸っている。
後で恨まれない事を祈ろう。
その日の夜は、「光と水の劇団:虹」の公演だった。
水の魔道具で作った水の壁に映し出す絵と演劇は素晴らしかった。
ブルネリ公爵領で公演を行っていた時より、格段に良くなっている。
ストーリーは恋愛もので、横暴な貴族に愛する女性を奪われた男性が貴族を倒して女性と結ばれる話だった。
俺は最後に2人が結ばれて思わず泣いてしまったのだが、
「あの横恋慕をしてきた貴族を倒した時は気持ち良いわね。楽しかったわ。
拓ちゃんは、何で泣いているの。」
と俺を見たサリナ姫の一言。この人、恋愛力が皆無なのではないだろうか。
俺の頭の上で観ていたヤマトと同レベルだ。ついでに
「演劇って素敵よね。私も女優を目指すべきだったかしら。」
このジェニファーさんの言葉で、自分の3文芝居を全く理解していなかった事を知った。
夜の出し物は昨日の踊りと「光と水の劇団:虹」の公演になるらしい。
そして、1日はライトアップした木々の散策とトレントと光苔の森。
なかなか良い気がする。しかし、「光と水の劇団:虹」の活動はどうするのだろう。
これだと、ロダン侯爵領でしか公演が出来なくなってしまうのではないだろうか。
一緒に観ていたロダン侯爵に聞いてみると
「彼等も、公演をしてくれる事を了解してくれました。
ただ、彼等が自由に動ける様に他の公演を考える予定です。」
確認をすると、ブルネリ公爵領での公演が大成功し、劇団への入団希望者は大勢いるらしい。
舞台収益から30%を魔道具の代金として俺に支払う事にしていたが、色々な貴族からの公演の依頼が有った上に、生活費を切り詰めたらしく一年で魔道具の代金の殆どを返してもらっている。
ここまで、努力する人達なら大丈夫だろう。
「もう1セット魔道具が有れば、領地でも外部でも公演が出来るようになりますね。」
俺の言葉に、ロダン侯爵は苦笑いをし、エチゴさんが諦めた感じで溜息を吐いていた。
劇団員が挨拶にやって来ると、早速エチゴさんからが新しい魔道具の話をしてもらい、前回と同じ契約をする事になった。
せっかく魔法を使えるなら、勇者と魔王の劇も面白いかもしれない。
使えそうな魔道具を作ったら、面白い劇を考えてくれるだろう。
「拓さん、無茶な事はしないで下さいよ。」
何時もの通り、何も言っていない俺にエチゴさんが釘を刺してくる。
追加で出すと、またしても一瞬にして無くなる。
皆さんがニコニコと嬉しそうな顔をしているので、更に追加で出そうとすると、
「拓殿、こいつらを甘やかすのはその辺で終わりにして下さい。」
との天の声ではなく、オリバー隊長の言葉
「えっ」と思わず声を出した兵士には、頭に拳骨が落ちた。
この状態を見て、浩司が拡張バッグから取り出そうとした物をしまい直そうとすると
「浩司さんは何を取り出そうとしたのです。」
サリナ姫に聞かれて浩司が拡張バッグから取り出したのはチョコレートケーキ
困った顔のオリバーさんに対し、バラン将軍が笑い始めた。
「浩司殿、ここに居る人数分は有るのだろうか。」
「量を作って有りますから大丈夫ですよ。」
そのまま、拡張バッグから4ホールも取り出すと「「「お~~」」」との歓声が上がる。
今回のはチョコレートを安く売ってくれているクロイツ伯爵にも食べてもらう為、浩司が研究を重ねて作り上げた最新作だ。
味は濃厚、見た目も綺麗だ。
この為に用意しておいたガラスのケーキ皿によそって全員に配った。
「もしかしてチョコレートと生クリームを組み合わせたの。凄く濃厚で美味しいわ。」
「俺もこんな美味いのは初めて食べた。チョコレートがこんな風になるのか。」
サリナ姫やヨハン王子も喜び、兵士達からも
「こんなの初めて食べた。」「チョコレート味の生クリームだ。」「貴族にでもなった気分だ。」
と絶賛の声が上がる。一番食べて欲しかったクロイツ伯爵は
「こんな菓子が作れるなんて考えもしなかった。
普通に食べるより濃厚で、チョコレートを使った別の食べ物だな。」
チョコレートの凄さを理解しようとしていたみたいだ。
喜んでもらえたのは良かったが、最後に問題が発生した。
浩司の手元にチョコレートケーキ2ピースが残っている。
濃厚で1ピースで十分だと思っていたが、他の人達は違うらしい。
全員が黙ったまま、ケーキを見ている。
「欲しい人がジャンケンをして、勝った2人が食べるのではどうかな。」
浩司の提案に反応し希望者から一斉に手が上った。
流石にサリナ姫達は手を上げなかったが、アーク、クリームまで手を上げている。
「アークやクリームは今回は譲りましょうよ。
チョコレートはまた購入出来ますので、別に食べる機会は有りますから。」
俺の言葉に渋々と手を下したが、恨めしそうな目で見るのは止めて欲しい。
この人達、大量に砂糖や果物を買ってきては浩司に菓子を作ってもらっているのに、どこまで食い意地が張っているんだ。
『拓と浩司に吾輩の分をお願いしたいけど、諦めるしかないにゃ。
しかし、ここまで真剣になるものにゃのか。』
『これが人間の欲望と言いたいが、この場合は、意地汚いだけじゃな。』
ヤマトとグリムが呆れる程、兵士達のジャンケンは白熱している。
勝ち残ったのは、男女1名づつ。
2人とも他の兵士に見せびらかしながら食べている。
女性兵士は、今回一緒に来ているもう1人の女性兵士と分けていたが
男性兵士は、他の兵士からの視線を楽しみながら優越感に浸っている。
後で恨まれない事を祈ろう。
その日の夜は、「光と水の劇団:虹」の公演だった。
水の魔道具で作った水の壁に映し出す絵と演劇は素晴らしかった。
ブルネリ公爵領で公演を行っていた時より、格段に良くなっている。
ストーリーは恋愛もので、横暴な貴族に愛する女性を奪われた男性が貴族を倒して女性と結ばれる話だった。
俺は最後に2人が結ばれて思わず泣いてしまったのだが、
「あの横恋慕をしてきた貴族を倒した時は気持ち良いわね。楽しかったわ。
拓ちゃんは、何で泣いているの。」
と俺を見たサリナ姫の一言。この人、恋愛力が皆無なのではないだろうか。
俺の頭の上で観ていたヤマトと同レベルだ。ついでに
「演劇って素敵よね。私も女優を目指すべきだったかしら。」
このジェニファーさんの言葉で、自分の3文芝居を全く理解していなかった事を知った。
夜の出し物は昨日の踊りと「光と水の劇団:虹」の公演になるらしい。
そして、1日はライトアップした木々の散策とトレントと光苔の森。
なかなか良い気がする。しかし、「光と水の劇団:虹」の活動はどうするのだろう。
これだと、ロダン侯爵領でしか公演が出来なくなってしまうのではないだろうか。
一緒に観ていたロダン侯爵に聞いてみると
「彼等も、公演をしてくれる事を了解してくれました。
ただ、彼等が自由に動ける様に他の公演を考える予定です。」
確認をすると、ブルネリ公爵領での公演が大成功し、劇団への入団希望者は大勢いるらしい。
舞台収益から30%を魔道具の代金として俺に支払う事にしていたが、色々な貴族からの公演の依頼が有った上に、生活費を切り詰めたらしく一年で魔道具の代金の殆どを返してもらっている。
ここまで、努力する人達なら大丈夫だろう。
「もう1セット魔道具が有れば、領地でも外部でも公演が出来るようになりますね。」
俺の言葉に、ロダン侯爵は苦笑いをし、エチゴさんが諦めた感じで溜息を吐いていた。
劇団員が挨拶にやって来ると、早速エチゴさんからが新しい魔道具の話をしてもらい、前回と同じ契約をする事になった。
せっかく魔法を使えるなら、勇者と魔王の劇も面白いかもしれない。
使えそうな魔道具を作ったら、面白い劇を考えてくれるだろう。
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何時もの通り、何も言っていない俺にエチゴさんが釘を刺してくる。
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