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391説教

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礼を含めてお茶でも御馳走すると言われ、皆で店に入る事にした。
自己紹介の時、「私はサリナです。」とサリナ姫が名乗ると、ガゼルスさんのオーラが揺らいだ。
もしかして、この人、サリナ姫の事を知っているのだろうか。
ハンさんのオーラに変化は無いが、気を付けた方が良さそうだ。
2人はイルミネーションのついてに、『君の瞳に乾杯グラス』を購入したかったらしい。

「所で、ハンさんって若って呼ばれていましたが、何処かの貴族なんですか。」

俺が尋ねてみると

「そんな所だが、俺の場合は3男坊だからな。立ち場なんて大したことないよ。
 婚約が決まったから、色々と旅をしてみようと思ってな。
 噂のブルネリ公爵領にやって来てみたんだ。」

「何故、婚約が決まると、旅に出るの事になるのよ。」

サリナ姫が呆れた様な感じでハンさんに話しかける

「これでも、俺の実家はそれなりなんだよ。
 町に出なければと市民と話すどころか、生活も分からない位にはね。
 数字だけ見ていても現実は分からない。
 外の世界を知らなければ、只の独りよがりになる。
 さすがに、結婚したら気軽にこんな事は出来なくなるからな。」

「ごめんなさい。もっとふざけた理由だと思ったので。
 そうよね、窓から外を見ても何も分からないわよね。」

「ハッハッハ、別にかまわないよ。
 自分の町に居た時は、家に居るのが息苦しくて良く町に抜け出していたから。」

ハンさんの言葉にガゼルスさんが頷いている。
きっと、御付の立場としては苦労しているのだろう。

「相手の女性はどんな人なの。」

「親が決めた婚約だからな会った事が無いんだ。綺麗な人らしいよ。」

「綺麗な人で良かったわね。」

「そうなんだけど、俺は何か言うとパーンって返って来る様な人が好みなんだよな。
 婚約者殿は綺麗らしいけど、人形の様な人で変っているらしい。
 俺は立ち場的に従うしか無くてさ。サリナさんには分からないだろうな。」

「何を言っているのよ。親が決めた相手だろうと、本気で好きにならないでどうするの。
 その女性だって、親の都合で貴方と結婚するのよ。
 そんな言い方をされては可哀想よ。貴方が受け入れなければ彼女が報われないわ。」

「すまない。本当に失礼な事を言ったと思う。サリナさんの言う通りだな。」

「そうよ。男だったら奥さんに幸せだと言わせてみせなさいよ。
 それに、こう見えても私にも断れない婚約者って言うのが居るのよ。」

「その幸せな男はどんな奴なんだ。」

「先に言っておくけど、私を口説きたかったら強くなってからにしてね。
 相手は親が決めたので、私も有った事が無いのよ。
 チャラチャラして、外で遊び呆けている道楽息子らしいわ。」

「何だ、そのどうしようも無い男は。立ち場と言うのは辛いな。
 これも何かの縁だ。今度俺に会わせてくれればガツンと一発言ってやる。
 『サリナさんに幸せだと言わせて見せろ』ってな。
 俺も人の事を言える立ち場では無いが、少しは効果が有るかも知れないぞ。」

「それは、ありがとう。流石に私から言えないからお願いするわ。」

ハンさんには、相手が可哀想と言っておきながら自分場合は平気で悪口を言うし、それにサリナ姫ならガツンと言えるだろうと思っていると、サリナ姫から鋭い視線が飛んできた。

2人は今までの旅の話や遺跡の話で盛り上がる。
サリナ姫も完全に素の状態でハンさんとの話を楽しんでいる。
その後は、ガラスの食器を扱っていたのがエチゴ屋だと言う事を話すと、是非とも案内して欲しいと言われて皆で移動。
店の2階は相変わらず混んでいて、ロダン侯爵領の食器が高いにも関わらず良く売れていた。

「これは凄い。こんな売り場は初めて見た。売り場だけでも一見の価値は有るな。」

ハンさんは食器を一通り見るとロダン侯爵領の陶器を数点とレオの料理本を購入していた。
買い物が終わる頃には時間が遅くなったので別れて屋敷に帰る事にした。
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