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265ロダン侯爵
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ギリス教がラグテルの町に支部を出す計画は潰れ、町は元に戻った。
いや、逆に以前より人間と獣人が良好な関係を築けている。
そして、2週間ほどしてブルネリ公爵がラグテルの町にやってきた。
呼ばれてニックさんの家に行くと、リビングに10人が待機しているのが探索魔法に引っかかる。
俺達は、そのまま2階のニックさんの執務室に向かう。
ブルネリ公爵、セバスチャンの他に、貴族の40代の男と、横に男に似た顔立ちの20代の男。
親子だろうか。初対面だが、どこかで見たことがある様な気がする。
その護衛らしい男2人が後ろに控えていた。
貴族の顔には紫色の膿、紫檀病にかかっている。そして後ろに控える男2人も酷いオーラを纏っている。
3人とも立っているのも厳しいはずなのに、そんな感じを全く見せない。
20代の男にしても、3人程ではないが、体調を崩している。
ブルネリ公爵はこんな病人達に無理をさせて何を考えている…
「OZの皆さん、わざわざ来て頂いて申し訳ない。こちらは、ロダン侯爵と息子のルーカス殿だ。
今回、この町でギリス教の支部を立ち上げようとした中心人物で、拓殿を誘拐した男の肉親だ。」
何処かで見たと思ったら、あの俺様男の肉親だったのか。
ロダン侯爵とルーカスさんが俺達に礼をする。
「この度は、息子が多分の迷惑をかけて申し訳なかった。
奴はロダン家から絶縁し、拓殿の誘拐を企てた罪で生涯、坑道で生きる事になるだろう。
本当に、申し訳なかった。」
そう言うと、俺達に対し深々と頭を下げた。
「拓殿には受け取ってもらいたい物が有る。」
ブルネリ公爵がそう言うと、セバスチャンが俺に立派な用紙を3枚渡す。
用紙に目を通してみるが
「申し訳ありませんが、話しに付いて行けていません。説明をして頂けますか。」
「その用紙は、ロダン侯爵、及びに後ろに控えるモーゼス、ジークフリートの生殺与奪の権利が書いてある。」
いや、そんな事は読めばわかる。
何で、一般市民の俺に貴族の生殺与奪の権利が渡されるのか聞きたいのだが。
「今回の件は、息子個人の問題として扱う訳にはいかない。
ロダン侯爵は自身と引き換えに、ロダン家の存続の仲裁を私に願い出た。
私、ブルネリが受けた権利だが、被害を受けたのは拓殿だ。
拓殿の意志は私、ブルネリの意志として権利を執行するものとする。」
全く理解できない。何で俺がブルネリ公爵の権利を代理で執行するんだ。
「我々に異存はありません。
拓殿、我が領地を立て直す方針を打ち出す猶予を頂けないだろうか。
勝手な事を言っているのは承知している。私の最後の願いを聞き入れて頂きたい。」
ロダン侯爵も否定しましょうよ。
それに、ロダン侯爵が直ぐに死ぬ事を前提に話をするのは辞めてもらいたい。
「その話は後にして下さい。色々聞きたい事が有りますが、先にやるべき事を行います。
すみませんが、ピースさんとトリスさんには培養槽を持って来てくれる様に伝えて下さい。」
培養槽は病原体を取り込み、薬の効果を調べるのに使う野球ボール位の白い魔道具だ。
アイテムボックスから取り出す訳にもいかず、ピース医師、トリス練成術師が持っているのを借りる事にした。
3人は隣の部屋に培養槽を用意して待機していたみたいで、直ぐに来てくれた。
「ニックさん、すみませんが、ベットを4つ用意してください。後、こちらにある水晶の玉を貸して頂きたいのですが。」
「用意してあります。水晶の玉もこちらに。」
何だよ、初めから準備されているのか。ブルネリ公爵は何を考えている。
いや、逆に以前より人間と獣人が良好な関係を築けている。
そして、2週間ほどしてブルネリ公爵がラグテルの町にやってきた。
呼ばれてニックさんの家に行くと、リビングに10人が待機しているのが探索魔法に引っかかる。
俺達は、そのまま2階のニックさんの執務室に向かう。
ブルネリ公爵、セバスチャンの他に、貴族の40代の男と、横に男に似た顔立ちの20代の男。
親子だろうか。初対面だが、どこかで見たことがある様な気がする。
その護衛らしい男2人が後ろに控えていた。
貴族の顔には紫色の膿、紫檀病にかかっている。そして後ろに控える男2人も酷いオーラを纏っている。
3人とも立っているのも厳しいはずなのに、そんな感じを全く見せない。
20代の男にしても、3人程ではないが、体調を崩している。
ブルネリ公爵はこんな病人達に無理をさせて何を考えている…
「OZの皆さん、わざわざ来て頂いて申し訳ない。こちらは、ロダン侯爵と息子のルーカス殿だ。
今回、この町でギリス教の支部を立ち上げようとした中心人物で、拓殿を誘拐した男の肉親だ。」
何処かで見たと思ったら、あの俺様男の肉親だったのか。
ロダン侯爵とルーカスさんが俺達に礼をする。
「この度は、息子が多分の迷惑をかけて申し訳なかった。
奴はロダン家から絶縁し、拓殿の誘拐を企てた罪で生涯、坑道で生きる事になるだろう。
本当に、申し訳なかった。」
そう言うと、俺達に対し深々と頭を下げた。
「拓殿には受け取ってもらいたい物が有る。」
ブルネリ公爵がそう言うと、セバスチャンが俺に立派な用紙を3枚渡す。
用紙に目を通してみるが
「申し訳ありませんが、話しに付いて行けていません。説明をして頂けますか。」
「その用紙は、ロダン侯爵、及びに後ろに控えるモーゼス、ジークフリートの生殺与奪の権利が書いてある。」
いや、そんな事は読めばわかる。
何で、一般市民の俺に貴族の生殺与奪の権利が渡されるのか聞きたいのだが。
「今回の件は、息子個人の問題として扱う訳にはいかない。
ロダン侯爵は自身と引き換えに、ロダン家の存続の仲裁を私に願い出た。
私、ブルネリが受けた権利だが、被害を受けたのは拓殿だ。
拓殿の意志は私、ブルネリの意志として権利を執行するものとする。」
全く理解できない。何で俺がブルネリ公爵の権利を代理で執行するんだ。
「我々に異存はありません。
拓殿、我が領地を立て直す方針を打ち出す猶予を頂けないだろうか。
勝手な事を言っているのは承知している。私の最後の願いを聞き入れて頂きたい。」
ロダン侯爵も否定しましょうよ。
それに、ロダン侯爵が直ぐに死ぬ事を前提に話をするのは辞めてもらいたい。
「その話は後にして下さい。色々聞きたい事が有りますが、先にやるべき事を行います。
すみませんが、ピースさんとトリスさんには培養槽を持って来てくれる様に伝えて下さい。」
培養槽は病原体を取り込み、薬の効果を調べるのに使う野球ボール位の白い魔道具だ。
アイテムボックスから取り出す訳にもいかず、ピース医師、トリス練成術師が持っているのを借りる事にした。
3人は隣の部屋に培養槽を用意して待機していたみたいで、直ぐに来てくれた。
「ニックさん、すみませんが、ベットを4つ用意してください。後、こちらにある水晶の玉を貸して頂きたいのですが。」
「用意してあります。水晶の玉もこちらに。」
何だよ、初めから準備されているのか。ブルネリ公爵は何を考えている。
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