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235鰻重

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翌日からは、川を下る。
この為に用意したカヌーをアイテムボックスから取り出す。
クリームのニコラスさんだけが1人用に乗り、他は2人用だ。
ニコラスさんと、俺と浩司のカヌーが周囲の警戒を行いながら先頭を進む。

「それにしても、アイテムボックスって凄いな。
 死者の谷洞窟に行くのにカヌーなんて使えないぞ。
 普通なら今頃、藪を掻き分けて進んでいるからな。」

ニコラスさんの言う通り、本来なら川沿いに昔の道の跡がありそこを通る。
今となっては藪に覆われ、進むにしても道なき道を歩くため10日以上かかる行程となる。
カヌーを使う事で3日程で辿りつける上に、魔獣は水を飲みに川縁まで来るが水の中に入ってまで攻撃を仕掛けてこない。
水中にも危険な魔獣は感知されず、非常にノンビリした水上の旅だ。
川沿いの地形を確認し、少し早いが平地に上陸して宿泊の準備を行った。

「アークは皆で何を作っているんです。」

アークが全員で周辺の藪を切り取りビクの様な物を作っていた。

「もしかして、ヌル取りですか。脂っこくて好きになれないんだよな。」

俺の横で見ていた、トムさんが残念そうに話す。

「確かに脂がきついが、ここなら確実に捕まえられるだろ。
 OZが十分な食料を用意してくれているとはいえ、これだけの人数だ。
 ある程度は食料を現地調達した方が良いと思ってな。」

ロウガさんの言葉にジークさんも頷き

「ロウガの言う通りだな。確かに、食料の確保は必要か。未だ時間も早い。俺達クリームは狩りに行くぞ。」

そう言って、クリームは狩りに出て行った。
確かに未だ時間は早い。
高い岩場に登って辺りを見回しても、手前に藪、奥の方に森がある位で何も無い。
行く当てもないOZは釣りをする事にした。

何とか、魚を人数分釣って終了とした。
ヤマトが気配を消して川に入り、捉えた魚10匹、レオ、アルが4匹づつ、エチゴさん、ガラが2匹づつ
俺と浩司はカヌーで色々なポイントを当ったにも関わらず0匹。

『お主達は、悲しいほど釣りの才能が無いな。』

「今日は、調子が悪かったんだよ。」

『・・・』

虚しい事を言っているのは自分が一番分かっている。何で俺達1匹も釣れないのかね。
日も暮れかかって来たのでテントの所に戻ると、クリームも戻って来ていた。

「おっ、結構釣れたな。俺達も無事に獲物を捕って来たぞ。ヌルを捕まえるならアークはこれからか。」

「ここから1時間が捕まえるチャンスだからな。たまには、浩司や拓が普通の旅の料理を食べるのも良いだろ。」

ロウガさんはそう言うと、アーク全員で川に向かった。
今夜は、ロウガさんが言う普通の旅料理を頂くという事で、肉や魚は明日用に下ごしらえを行っていると

「遅くなって悪かったな。ヌルが大量に捕れたぞ。」

そう言って、運んできた罠の中を覗いてみると

「おっ、おい、拓ちゃん、ちょっと見ろよ。」
「おい、おい、おい、これってウナギじゃないか。」

ヌルの正体は俺達が知っているウナギそっくりだった。
外側がヌルヌルしているのでヌルと呼ばれているそうだ。

「このヌルってどうやって調理しているんです。」
「ブツ切りにして焼いて食べるかな。
 脂っこくてイマイチなんだけど、浩司君と拓君が旅の料理を知るなら丁度良いと思うよ。」

クリームのトムさんがヌルを覗き込みながら教えてくれる。

「勿体ないな。開いて蒲焼にした方が良いだろう。」
「拓ちゃんって、ウナギを捌いた事があるのか。」
「有る訳がない。でも、レオなら出来るよ。
 焼く場所とタレは俺が用意できるから、チャレンジする価値はあると思わないか。」
「上手く行けば、鰻重か。確かに試してみるしかないな。」

俺と浩司が2人で盛り上がっていると、

「なぁ、拓、浩司。盛り上がっている所悪いが、ヌルの調理方法を知っているのか。」

ガラに言われて、とりあえず捌き方として開いて串に刺してもらう様にお願いした。

「しかし、ヌルを開くと言っても、結構大変だぞ。」
「確か頭の部分を釘で板に差して動きを止めてやるんだ。
 俺もやったことが無いから教えられないんだけど、道具を用意するから試してもらえないかな。」
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