上 下
226 / 752

226言霊2

しおりを挟む
俺が、闇の魔力を放出して呪いの邪魔をすると、女が俺を見て少し驚いていた。
余裕をかまして居られるのも今だけだ。俺が気配を消すと、女の背後から漆黒の槍が襲う。
しかし、女は漆黒の槍を横に跳んで避ける。

「気配を消せる位で・・・」

女の言葉は、俺の蹴りが女の顔にヒットし途切れた。

「十分に、対抗できそうだね。」

「糞ガキ。この私の顔を。」

漆黒の槍を放ったのはヤマトだ。
女が話し終える前に、気配を消しているヤマトが更に漆黒の槍を放つ。
こんな女の言葉なんて聞いてられるか。女は避けつつ俺を睨みつける。

「地が出てるよ。おばさん。」

しかし、攻撃が通用したのはそこまでだった。
3人+1匹で相手相手をしているが、女はそれ以上の体術で躱されてしまう。
女を囲い込んだ所で、俺とヤマトが漆黒の槍を女に対して放つが、女から煙幕が発生し完全に見えなくなってしまった。
煙幕のせいか気配を掴むことが出来ずにいた。。
煙幕の周辺を探索魔法で確認していたが、煙が晴れた時には

『拓、女が消えたにゃ。何処にも居ないにゃ。』

「探索に全く引っかからない。あの状態で逃げるなんて冗談だろ。」

しばらく、周辺の捜査を行ったが、女の気配を感じることも出来なかった。
一応、女のテント調べて見たが何も無い。
捜索を諦め、エチゴさんが女に対して気が付いた事を話してくれた。

「僅かに女性から闇の魔力攻撃を受けていました。
 初めて受ける魔法でしたが、拓さんの感じた不快感を考えると言霊とは呪いの一種でしょう。」

エチゴさんは商人時代に、自分の身を守る為に呪いについて調べたらしい。
俺の女に対する不快感は、俺の魔力が言霊をレジストしていた為との事。
普通なら知らずに影響を受けている所だが、俺の魔力が多く反発したのだろう。
浩司も、女に対して不快感を感じていたそうだ。
俺達の存在が想定外と言う事は、狙いはピース医師とトリス練成術師だろう。
心当たりを伺ってみると、2人の地位や技術を妬む者、ギリス教の名前が上がった。
普段は俺の探索魔法と結界で問題無かったが、今回は交代で見張りを立てる事にした。
俺は明け方の見張り当番を行っている。

「呪いだけはグリムから教えてもらった事が無かったね。」

『あたりまえじゃ、儂の弟子に、そんな糞ったれなモノを教えるわけ無かろう。』

「そうか。あんなの糞ったれだよな。でも知らないと危険だ。」

『そうじゃな、知らずにやられては、笑えんからな。』

あんなのが居るなら、俺も出来る限りの対策を講じておかないと。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

放置された公爵令嬢が幸せになるまで

こうじ
ファンタジー
アイネス・カンラダは物心ついた時から家族に放置されていた。両親の顔も知らないし兄や妹がいる事は知っているが顔も話した事もない。ずっと離れで暮らし自分の事は自分でやっている。そんな日々を過ごしていた彼女が幸せになる話。

鑑定能力で恩を返す

KBT
ファンタジー
 どこにでもいる普通のサラリーマンの蔵田悟。 彼ははある日、上司の悪態を吐きながら深酒をし、目が覚めると見知らぬ世界にいた。 そこは剣と魔法、人間、獣人、亜人、魔物が跋扈する異世界フォートルードだった。  この世界には稀に異世界から《迷い人》が転移しており、悟もその1人だった。  帰る方法もなく、途方に暮れていた悟だったが、通りすがりの商人ロンメルに命を救われる。  そして稀少な能力である鑑定能力が自身にある事がわかり、ブロディア王国の公都ハメルンの裏通りにあるロンメルの店で働かせてもらう事になった。  そして、ロンメルから店の番頭を任された悟は《サト》と名前を変え、命の恩人であるロンメルへの恩返しのため、商店を大きくしようと鑑定能力を駆使して、海千山千の商人達や荒くれ者の冒険者達を相手に日夜奮闘するのだった。

喰らう度強くなるボクと姉属性の女神様と異世界と。〜食べた者のスキルを奪うボクが異世界で自由気ままに冒険する!!〜

田所浩一郎
ファンタジー
中学でいじめられていた少年冥矢は女神のミスによりできた空間の歪みに巻き込まれ命を落としてしまう。 謝罪代わりに与えられたスキル、《喰らう者》は食べた存在のスキルを使い更にレベルアップすることのできるチートスキルだった! 異世界に転生させてもらうはずだったがなんと女神様もついてくる事態に!?  地球にはない自然や生き物に魔物。それにまだ見ぬ珍味達。 冥矢は心を踊らせ好奇心を満たす冒険へと出るのだった。これからずっと側に居ることを約束した女神様と共に……

異世界転生してしまったがさすがにこれはおかしい

増月ヒラナ
ファンタジー
不慮の事故により死んだ主人公 神田玲。 目覚めたら見知らぬ光景が広がっていた 3歳になるころ、母に催促されステータスを確認したところ いくらなんでもこれはおかしいだろ!

異世界は流されるままに

椎井瑛弥
ファンタジー
 貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。  日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。  しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。  これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。

世の中は意外と魔術で何とかなる

ものまねの実
ファンタジー
新しい人生が唐突に始まった男が一人。目覚めた場所は人のいない森の中の廃村。生きるのに精一杯で、大層な目標もない。しかしある日の出会いから物語は動き出す。 神様の土下座・謝罪もない、スキル特典もレベル制もない、転生トラックもそれほど走ってない。突然の転生に戸惑うも、前世での経験があるおかげで図太く生きられる。生きるのに『隠してたけど実は最強』も『パーティから追放されたから復讐する』とかの設定も必要ない。人はただ明日を目指して歩くだけで十分なんだ。 『王道とは歩むものではなく、その隣にある少しずれた道を歩くためのガイドにするくらいが丁度いい』 平凡な生き方をしているつもりが、結局騒ぎを起こしてしまう男の冒険譚。困ったときの魔術頼み!大丈夫、俺上手に魔術使えますから。※主人公は結構ズルをします。正々堂々がお好きな方はご注意ください。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

異世界のんびりワークライフ ~生産チートを貰ったので好き勝手生きることにします~

樋川カイト
ファンタジー
友人の借金を押し付けられて馬車馬のように働いていた青年、三上彰。 無理がたたって過労死してしまった彼は、神を自称する男から自分の不幸の理由を知らされる。 そのお詫びにとチートスキルとともに異世界へと転生させられた彰は、そこで出会った人々と交流しながら日々を過ごすこととなる。 そんな彼に訪れるのは平和な未来か、はたまた更なる困難か。 色々と吹っ切れてしまった彼にとってその全てはただ人生の彩りになる、のかも知れない……。 ※この作品はカクヨム様でも掲載しています。

処理中です...