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210ミスリル製
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冬が近づき、俺達はニックさん、アークのメンバー、カイ、レムと一緒にブルネリ公爵領へ行く事になった。
今回はサリーも誘っていたが、冬の間も孤児院の子に勉強を教えたいとラグテルの町に残った。
何時ものメンバーでの移動となったのだが、アークのテンションが異常に高い。
理由は5日前、全員がミスリル製の防具を受け取ってからの初めての旅となったからだ。
「本当に1人、白金貨1枚で良いのか。
それだと、市場の1割にもならないぞ。おまけに、支払いを待ってもらえるなんて。」
「問題ないです。OZが保証人になっているので、支払いはきちんとして下さいよ。
伝手を持っていた俺に感謝して下さい。」
最後は冗談で言ったのに、全員から頭を下げられてしまった。
慌てて、頭を上げてもらうと全員が笑い始めたが、改めてジークさんに手を握られ「ありがとう」と言われた時は、変に照れてしまった。
それぞれのミスリルの防具は、アークのメンバーのサイズを測り、各自に合わせて作り上げてある。
出発までの間、整備を手伝い細かい微調整を行ってきた。
移動の間は、魔獣が襲ってくるように念じている様な感じで、魔獣が出ると、我先にと突っ込んでいく。
「やはり、ミスリル製は良いな。今までの防具と違って軽い。」
「それに、動きやすい。体にフィットして全く違和感が無い。」
「違和感と言えば、軽すぎる事か。今までの防具が重かったからな。」
と喜んでもらえている様子。
既に白金貨3枚を支払って貰い、残り2枚も直ぐに溜まりそうだ。
無事にブルネリ公爵領に着いた俺達は、入口に並ぶ長蛇の列を横目に、貴族が使う特別門から入らせてもらった。
ブルネリ公爵の屋敷では公開5日前だが、既にイルミネーションの準備も終わっていて、サリナ姫、バラン将軍、オリバー隊長も俺達を迎えてくれた。
ヤマトは迎えてくれた人の中にルドルフ料理長の姿を見つけると
『吾輩は、ルドルフと約束しているからにゃ。何かあったら呼んでくれにゃ。』
そう言い残して、ルドルフ料理長の所に走って行くと、直ぐに用意していた食べ物をもらい始めていた。
「食事で簡単に釣られるなんて、ヤマトには元Aランクの魔獣としてのプライドは無いのかな。」
「何言っているんだよ。拓ちゃんが契約した魔獣だろ。契約者に似たんじゃないのか。」
浩司の台詞に全員に笑われてしまった。
しかし、浩司自身も契約者だと言う事を忘れているんじゃないだろうか。
今回は、一般公開の前2日間ブルネリ公爵の屋敷で貴族のパーティが開かれる。
大勢の貴族からの要請で、ブルネリ公爵も開かない訳にはいかなかったらしい。
そのため、前回より早い5日前に内輪だけのイルミネーションの点灯式が行われた。
「10、9、8・・・3、2、1、点灯。」
ブルネリ公爵の掛け声でイルミネーションが一斉に点灯し、歓声と割れんばかりの拍手が上がった。
しばらく経った後、カイとレムを引き連れたサリナ姫がやって来て
「発案は拓ちゃんだけど、今年は驚いてもらうわ。」
そう言って、俺達を屋敷の裏の方へと連れて行く。
他の人達は既にそこに集まっていた。
「では、お待たせしました。今回のメインイベントです。カウントダウン、3、2、1、点灯。」
ドヤ顔のサリナ姫の後ろでイルミネーションが輝いた。
「凄い。想像以上だよ。」
俺が見とれていると、嬉しそうにサリナ姫が近付いてきた。
背中にバラが咲き誇っている様に見えるのは幻覚魔法なんだろうか。
「何時も驚かされて来たけど、今回はしてやったりね。」
「サリナお姉さん、言葉遣いが悪いですよ。」
「拓ちゃんが何を言っているのよ。」
「まぁまぁ、サリナ様。これで、拓殿を驚かせるという目的を達成出来ましたな。」
「ブルネリさんが、サリナお姉さんに毒されている。」
サリナ姫とバラン将軍は今更だが、ブルネリ公爵までドヤ顔するのは止めましょうよ。
「失礼ね。何で、そうなるのよ。」
久しぶりに、姫チョップを受けてしまった。
今回はサリーも誘っていたが、冬の間も孤児院の子に勉強を教えたいとラグテルの町に残った。
何時ものメンバーでの移動となったのだが、アークのテンションが異常に高い。
理由は5日前、全員がミスリル製の防具を受け取ってからの初めての旅となったからだ。
「本当に1人、白金貨1枚で良いのか。
それだと、市場の1割にもならないぞ。おまけに、支払いを待ってもらえるなんて。」
「問題ないです。OZが保証人になっているので、支払いはきちんとして下さいよ。
伝手を持っていた俺に感謝して下さい。」
最後は冗談で言ったのに、全員から頭を下げられてしまった。
慌てて、頭を上げてもらうと全員が笑い始めたが、改めてジークさんに手を握られ「ありがとう」と言われた時は、変に照れてしまった。
それぞれのミスリルの防具は、アークのメンバーのサイズを測り、各自に合わせて作り上げてある。
出発までの間、整備を手伝い細かい微調整を行ってきた。
移動の間は、魔獣が襲ってくるように念じている様な感じで、魔獣が出ると、我先にと突っ込んでいく。
「やはり、ミスリル製は良いな。今までの防具と違って軽い。」
「それに、動きやすい。体にフィットして全く違和感が無い。」
「違和感と言えば、軽すぎる事か。今までの防具が重かったからな。」
と喜んでもらえている様子。
既に白金貨3枚を支払って貰い、残り2枚も直ぐに溜まりそうだ。
無事にブルネリ公爵領に着いた俺達は、入口に並ぶ長蛇の列を横目に、貴族が使う特別門から入らせてもらった。
ブルネリ公爵の屋敷では公開5日前だが、既にイルミネーションの準備も終わっていて、サリナ姫、バラン将軍、オリバー隊長も俺達を迎えてくれた。
ヤマトは迎えてくれた人の中にルドルフ料理長の姿を見つけると
『吾輩は、ルドルフと約束しているからにゃ。何かあったら呼んでくれにゃ。』
そう言い残して、ルドルフ料理長の所に走って行くと、直ぐに用意していた食べ物をもらい始めていた。
「食事で簡単に釣られるなんて、ヤマトには元Aランクの魔獣としてのプライドは無いのかな。」
「何言っているんだよ。拓ちゃんが契約した魔獣だろ。契約者に似たんじゃないのか。」
浩司の台詞に全員に笑われてしまった。
しかし、浩司自身も契約者だと言う事を忘れているんじゃないだろうか。
今回は、一般公開の前2日間ブルネリ公爵の屋敷で貴族のパーティが開かれる。
大勢の貴族からの要請で、ブルネリ公爵も開かない訳にはいかなかったらしい。
そのため、前回より早い5日前に内輪だけのイルミネーションの点灯式が行われた。
「10、9、8・・・3、2、1、点灯。」
ブルネリ公爵の掛け声でイルミネーションが一斉に点灯し、歓声と割れんばかりの拍手が上がった。
しばらく経った後、カイとレムを引き連れたサリナ姫がやって来て
「発案は拓ちゃんだけど、今年は驚いてもらうわ。」
そう言って、俺達を屋敷の裏の方へと連れて行く。
他の人達は既にそこに集まっていた。
「では、お待たせしました。今回のメインイベントです。カウントダウン、3、2、1、点灯。」
ドヤ顔のサリナ姫の後ろでイルミネーションが輝いた。
「凄い。想像以上だよ。」
俺が見とれていると、嬉しそうにサリナ姫が近付いてきた。
背中にバラが咲き誇っている様に見えるのは幻覚魔法なんだろうか。
「何時も驚かされて来たけど、今回はしてやったりね。」
「サリナお姉さん、言葉遣いが悪いですよ。」
「拓ちゃんが何を言っているのよ。」
「まぁまぁ、サリナ様。これで、拓殿を驚かせるという目的を達成出来ましたな。」
「ブルネリさんが、サリナお姉さんに毒されている。」
サリナ姫とバラン将軍は今更だが、ブルネリ公爵までドヤ顔するのは止めましょうよ。
「失礼ね。何で、そうなるのよ。」
久しぶりに、姫チョップを受けてしまった。
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